絶壁上の絶景 与那国「ティンダバナ」
ティンダバナ。
与那国島の中心街とも言うべき祖納(そない)地区の南西部に位置しており、断層崖の交叉によって形成された屏風のようにそびえる標高85mの崖で、国の名勝にも指定されています。(2014年10月6日付)
別名ティンダハナタ。
見ての通り、起伏の激しい与那国島の地形の中でもここは高低差が際立っており、自転車では非常に苦労します。
というより、電動アシスト付き自転車でもなければ立ち漕ぎでも厳しいかもしれない。
(ちなみにこの坂道を下ると、自転車ですら50km/hほどの速度が出ます)
レンタカーであれば特に問題ないとは思いますが、急な坂道とカーブがありますので、対向車との接触に注意。
崖の中腹あたりに駐車場と入り口があり、そこから天然の展望台までは遊歩道を徒歩で移動します。
ここまで来れば後はちょっとした坂道が続くものの、さほど苦労する事はないでしょう。
ちょっと進んでいくと、「イヌガン」と呼ばれる岩屋(洞窟)が見えてきます。
そしてこのイヌガンには次のような伝承があるようです。
イヌガン (町民俗文化財)
昭和五四年三月二四日指定大昔、久米島から中山王府への貢納船が出帆(しゅっぱん)した。しかし、船は荒天に遭い、与那国島に漂着した。一行の中に女一人と雄犬一匹が加わっていて、ある夜から男が一人ひとり犬にかみ殺され、犬と女だけが岩屋で同棲するようになった。
一方、小浜島の漁夫が荒天に遭い、与那国島に漂着した。女はこの島に猛犬がいることを知らせ、すぐ島を離れるよう忠告するが、男は女の美貌にひかれ、逆に犬を退治した。
二人は夫婦になり、七人の子宝に恵まれるが、ふとしたことから犬の殺害を知った女は、ついに犬の死骸を抱いて命を絶った。
犬と女が、住んでいたところがイヌガンといわれている。
与那国町教育委員会
イヌガンからさらに奥に進んでいくと、大きな岩の窪みに差し掛かります。
そして、この先から一帯がティダバナ自然の展望台となっています。
標高は大したことないものの、この展望台から見下ろす景色はなかなか壮麗なものです。
祖納地区の町並み、澄み切った青さののナンタ浜とその向こうに広がる東シナ海、東崎(あがりざき)へと続く山……。
しかし、こうして見ると与那国島って思ったよりも広い島なんだなという事が実感できるかと思います。
最初に差し掛かる展望台の椅子の後ろには階段が作られており、そこからさらに奥へと進むことができます。
その先の岩陰には湧き水が。
この湧き水は神聖な水とされており、毎年旧暦の8月に行われる与那国島の「アラミディ(新水)」という祭祀の際に供えられています。
湧き水のさらに先の方も展望台。
そして、この展望台の岩陰には石垣島出身である詩人、伊波南哲の「讃 ・與那國島」という詩が掛けられていました。
伊波南哲
荒潮の息吹に濡れて
千古の伝説をはらみ
美と力を兼ね備へた
南海の防壁與那國島
行雲流水
己の美と力を信じ
無限の情熱を秘めて
太平洋の怒涛に拮抗する
南海の防壁與那國島
宇良部岳の霊峰
田原川の盡きせぬ流れ
麗しき人情の花を咲かせて
巍然とそそりたつ與那國島よ
おゝ汝は
黙々として
皇國南海の鎮護に挺身する
沈まざる二十五万噸の航空母艦だ
紀元二千六百三年三月
ここから先は行き止まり。
しかし、ダイナミックな岸壁とそこから見渡す景色の良さはなかなか素晴らしいものでしょう。
与那国島に訪れる際は忘れずに立ち寄っておきたいスポットの一つです。
ちなみに、このティンダバナのてっぺんにも行くことができます。
ティンダバナは台地となっていますので、頂上付近はほぼ平らな草原が広がっています。
草原というより牧場か?奥の方には牛たちが寝そべっていました。
牛さんの奥側に何やらありそうなんですが、あまり刺激するのも良くないと思い、そこには近づかないことに。
とはいえ、その脇から見る景色もまた素晴らしいものがあります。
ただし、この一帯は手すりなどは一切ないので、もし足を滑らせたりすれば崖の下まで真っ逆さまです。
あまり身を乗り出しすぎないように注意。
リンク
■『与那国島ねっと』
■『沖縄観光情報WEBサイトおきなわ物語/ティンダバナ』
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