東洋一の低さ!?山口県萩市の火山『笠山』 ~見た目に反する大自然の浪漫を楽しむ~

日本一低い山シリーズ第5弾、『笠山 (かさやま)』。
山口県萩市にある山で、日本一、或いは東洋一低い活火山と言われている低山です。
今回は、その低いという言葉だけでは表しきれない、奥深い自然の歴史を持つ笠山についてまとめていきます。

 

 

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1・東洋一低い火山、『笠山』の概要

 

 

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山口県萩市の日本海側に突き出た半島(陸繋島)にある低山、『笠山』。
これまで、大阪『天保山』の4.53m、宮城県『日和山』の3m等、標高一桁台の超低山を紹介してきましたが、この『笠山』は標高112mと、日本一低い山シリーズ中でも突出した高さを誇る山となっています。

では、なぜ今回、“日本一低い山シリーズ”の一つとして紹介しているのか?
それは、この笠山が“火山”であり、火山に分類される山としては、国内で最も低い山となっている為です。

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標高112m。山として見るとかなり低い方に分類されますが、大体30階建ての高層ビルの高さに相当します。
なので、離れた場所から見ると、意外と小高い山である事が分かるかと思います。

これが数字と言葉のマジック…。

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この山を遠くから眺めてみると、女性の被っていた市女笠(いちめがさ)に形が似ている事から、『笠山』と名付けられました。

しかし、私がバスで移動した時にチラッと見えた笠山は、どうも市女笠には似ても似つかないような…。
もっとそれっぽく見える場所があるのだろうか?

そして、この標高112mというのは、火山としては異例の低さであり、日本一低いばかりでなく、東洋一の低さでもあると言われています。

ただ、Wikipedia先生によると、

『火山の定義や地形学的分類により捉え方は様々であり、その序列を断定的に呼称することは無意味である。』

との事です。お堅いね~~

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笠山は、約1万年前の噴火の際、安山岩の溶岩台地とマグマのしぶきであるスコリアが降り積もって形成されたもの(スコリア丘と言う)とされています。

この笠山を含む周辺地域は、約200万年前から活動した約50もの火山が集まっており、これらの火山を「阿武火山群」と呼びます。
地下深くにあるマグマは一緒のものであり、一連の噴火活動がそれぞれ違う場所で起こった為に、一つ一つの山は小さなものとなりました。

これを『単成火山』と言います。

火山そのものは活動を止めているものの、笠山を始めとした阿武火山群は「活火山」に指定されています

とうの昔に活動を停止しているのになぜ?
とお思いの方もいらっしゃると思いますが、火山噴火予知連絡会と気象庁では、活火山の定義を「概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴火活動のある火山」としています。

阿武火山群で、最も新しい火山活動があった笠山。
その笠山の活動が約1万年前のものであるとされており、地下のマグマが一体のものである為、笠山を含む阿武火山群は、現在も「活火山」と定義付けされているのです。

長い地球の歴史からすると、1万年前など、つい最近の事に分類される、という事か。
小さな山体からは想像もつかない浪漫を感じさせます。

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2・東洋一低い火山の火口を歩く

 

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火山という事は、火口があり、そこに降りる事が出来るという事。
この『笠山』においても例外ではなく、山の頂上から火口に降りていく事が可能です。

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火口の大きさは、直径30m、深さ30m。

火山に分類されてはいるものの、その活動は終わっているので、安心して火口に降りる事が出来ます。
噴煙はおろか、硫黄臭が立ち込めているなんて事もありません。

恐らく、火山である事の予備知識や、「ここが火口だよ」と説明されなければ、まず火山であると気付く事は出来ないでしょう。

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かなりの昔に活動を終えたのだろう。
通常イメージする火口から、非常にかけ離れた姿が、そこに広がっています。

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一見すると、崖のような岩が、森の中に反り立っているようにしか思えない事でしょう。

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大昔に、ここから噴煙や溶岩が噴出していたのだと想像すると、これまたちょっとした浪漫を感じるかもしれません。

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階段や遊歩道がしっかりと整備されていますので、いつもの普段着で簡単に移動する事が出来ます。

とは言え、歩きやすい格好でアクセスするのが良いでしょう。

恐らく、日本において、地上から最も楽に簡単に火口までアクセスする事が出来る火山でもあるだろう。

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3・意外と絶景!展望台からの眺望

 

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笠山の頂上には、展望台が建てられています。

そこから萩市や日本海の景色を眺める事が出来ます。

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たかが標高112mの山頂だと侮る事なかれ。
その眺望の良さは、想像以上です。

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日本海側には、大小様々な島が浮かんでおり、絶景さを引き立てています。

これらの島は、6万年前から21万年前に陸上で噴火した火山。
笠山と同じ「阿武火山群」という、萩市の北東部を中心に広がる50個近くある小さな火山の集まりに属しています。

阿武火山は、粘り気の強いマグマで、珪酸 (SiO2:ガラスの主成分)の量が中程度の安山岩となっています。
この安山岩で出来た島が海に浮かぶのは、世界でもここでしか見る事が出来ない、非常に貴重な光景となっています。

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標高だけでなく、周囲の景色を創り出しているものまでもが、非常にユニークな存在となっているのです。

この世界的にも貴重な光景を、心ゆくまで楽しんでいきましょう。
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萩市観光課公式チャンネル「-hagi tabi-」

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4・天然の水族館の呼び名で知られる『明神池』

 

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笠山の麓には、『明神池』と呼ばれる、国指定天然記念物の池があります。

 

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この明神池のある一体は、かつて海となっていました。
しかし、笠山の火山活動の際に流れ込んだ溶岩と、潮流の作用で出来た砂州によって、本土と陸続きになり、現在の地形が形成されました。

明神池は、その海が埋め残されて出来た池となっています。

溶岩塊の隙間を通して日本海と繋がっている為、海跡湖(かいせきこ)となっており、海の干満に応じて池の水位も増減します。

貞享3年 (1686年)、萩藩2代藩主の毛利綱広が、毛利元就が信仰していた安芸の厳島明神を勧請して分岐、これにちなんで明神池と呼ばれるようになりました。

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また、池でありながら、マダイ、イシダイ、ボラ、エイ、スズキ等の約20種類もの海水魚が生息しています。

これは、地元の漁師たちが、漁の安全と豊漁を祈願して池に奉納した魚が繁殖したもの。

海水魚の姿が手軽に見られる事から、天然の水族館とも呼ばれています。

しかし、私はあまり池そのものには興味がそそられませんでした…。
なぜなら、その“天然の水族館”の名をあっという間に吹き飛ばしてしまった存在が、その周囲にいたから…。

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5・『明神池』周辺の猫たちと戯れる

 

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そう、その存在というのは、たちの姿。

それも1匹や2匹ではありません。
数匹がまとまって池の脇の方を住処としているかのようです。

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まさか、池の魚を狙っている…わけではないよな…??
猫島のように、敢えて猫たちを放し飼いのようにしているのか、或いは一時的なものなのか…??

しかし、笠山だけでなく、こうして猫たちと戯れる事まで出来るとは、予想外の出来事でした。

 

Twitterでも簡単な動画をまとめていますので、是非ご覧下さい。

https://twitter.com/AimmijahMijah/status/1287732418867113986

 

スライドショーにもまとめてみました。
明神池の猫たちの姿をお楽しみください。

 

 

萩市観光協会

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6・萩市・笠山までのアクセス

 

ここからは、萩市・笠山までのアクセス方法について、実際に私が移動した手順に沿ってまとめていきます。

萩市までは、JR新山口駅から高速バスが走っていますので、これを利用するのが良いでしょう。

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新山口駅北口のバスきっぷ売り場にて、『スーパーはぎ号』の乗車券を購入します。

萩市までの移動時間は、約60分。
運賃は片道1,600円となっています。

新山口~萩間は、一日4往復しかありませんので、注意しましょう。

詳細はこちらを参照ください。
『新山口⇔萩(スーパーはぎ号)』

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駅北口の「萩方面のりば」前にて、「スーパーはぎ号」に乗車し、移動開始します。

 

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約65分後に『萩バスセンター』に到着します。
(バスセソターに見える…)

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なかなか古くて良い雰囲気を醸し出しています。

ここから路線バスに乗り換え、笠山最寄りのバス停まで移動します。

最寄りのバス停留所名は、『越ケ浜 (こしがはま)』。
「奈古駅前」行き、または「堀越」行きのバスが越ケ浜を通りますので、これを利用します。

運賃は片道310円

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通常の路線バスのように、乗車の際に整理券を受け取り、下車の際に運転席横の運賃箱に運賃を投入しますが、バスセンター内で、予め切符を購入しておく事が可能です。
これを下車する際に運賃箱に投入します。

※写真は増税前なので300円となっています。

 

 

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路線バス発車まで若干時間があったので、少しだけバスセンター周辺を散策していました。

時間があったら、是非もっといろいろと散策してみたかった…!
次は萩市内の街並みを楽しみたいと思いつつ、再訪を誓います。

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でも、「魚ロッケ」なる萩名物はしっかりとチェックしています。
かまぼこをフライにしたようなもの…か?

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そうこうしている内に、路線バス出発の時間になったので、バスセンターに戻り、バスに乗り込みます。

 

 

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16分~20分程度で、越ケ浜に到着します。

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なかなか良い感じの漁港です。

ここから明神池を経由しつつ、笠山頂上を目指して徒歩移動します。
頂上までの道のりは、およそ1.6kmほど。

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細かい分岐路はありますが、ほぼ道なりに進んでいけば問題ありません。
要所で案内板も出ていますので、迷う事はないでしょう。

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山らしい風景が続きますが、道はしっかり整備されていますので、さほど苦労はしないでしょう。
ただし、歩道はありませんので、車には気をつけましょう。

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途中、『椿群生林』の案内板のある分岐路に出ますが、ここを右方面に、さらに坂道を上っていきます。

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この辺りで標高112mの意外な高さを体感する事になるかと思いますが、ここまで来たら、頂上はもう少しです。

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最後の分岐路。
右側は歩行者専用路で、左に進むと駐車場があります。
右に進み、これを上りきると、頂上に到着します。

山に登っていながら、登山という感覚は全くない不思議な行程ですが、簡単な運動になって良いかもしれません。
登山が苦手という方でも、これなら何とか上れる…かもしれませんので、一度挑戦してみてはいかがでしょうか。

 

ちなみに、笠山の北側には『椿群生林』があります。

見ごろは2月~3月頃。

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私がこの笠山に訪れたのは、12月末頃の事。
さすがに椿は全く咲いていない状況ではありましたが、この群生林は冬枯れでもなかなか見ものです。

徒歩の場合、笠山から思った以上に歩く事になりますので、時間には注意しましょう。
(私はこの開花の気配すらない時期にわざわざ歩いていきました…)

 

 

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そして、新山口への帰りは、東萩駅から出発する事にしました。

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スーパーはぎ号は、東萩駅を起点としていますので、ここからでも同高速バスに乗車可能です。

各々の移動プランに合わせて、乗車場所を臨機応変に変えてみましょう。

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7・まとめ

 

東洋一低いとされる火山でありながら実に奥深い歴史、ユニークな地質、池、そして猫と、あらゆる角度から楽しませてくれる笠山。
観光名所の多い山口県の中でも、実に個性あふれるスポットです。
その外観からは分からない深い自然の浪漫が凝縮された笠山。
是非一度その身で確かめてみて下さい!

 

 


リンク

 

『笠山/萩市観光協会公式サイト』
『萩ジオパーク推進協議会』

『新山口⇔萩(スーパーはぎ号)』

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