奥薬研温泉 ~下北の由緒ある癒しの露天風呂~

 

青森県の下北半島を代表する温泉地の一つ、薬研温泉(やげんおんせん)

恐山(おそれざん)菩提寺(ぼだいじ)の北側に位置しており、その昔、温泉の湧き出る場所が、漢方薬をすりつぶす器具「薬研台」に似ている事から薬研温泉と名付けられたとされています。様々な効能を有するこの温泉が、薬のように効くから、という説もあるようです。

中でもその薬研温泉郷からさらに西に2kmほどの地は「奥薬研温泉(おくやげんおんせん)」と呼ばれており、「かっぱの湯」と呼ばれる2つの露天風呂で知られています。

その昔、恐山を開山した慈覚(じかく)大師がこの薬研の地を訪れ、崖から転落して思わぬ怪我をしてしまいました。そこに1匹の河童が現れて大師を運び去り、フキの葉で大師の身体を包んで温泉に浸からせたところ、怪我がすっかりと治ってしまった事から、この河童の行いに感激した大師が、この温泉を「河童の湯」と名付けた、という伝説を持つ、由緒ある温泉です。

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  「河童の湯」の由来 

 

湯の股渓谷にある露天風呂・通称千人風呂は、別名河童の湯ともいわれ、これには伝説が残っている。

貞観四年※1、今からさかのぼること一千百余年の昔、円仁慈寛(えんにんじかく)大師が恐山を開山した後、薬研渓流をたずねることになった。大師は道に迷って、丈余※2の崖から足を踏みはずして転落し、思わぬ大怪我をしてしまった。

慈寛大師は渾身の力を振りしぼって断崖から這いあがり、大滝の河原で身体を休め思案にくれていたところ、夜半どこからともなく、大きなフキの葉っぱをかぶった一ぴきの河童が現れた。折からの満月にうかれながら慈寛大師の前に出て怪我のため苦しんでいる様子を見て何を思ってか、突然大師を背負っていずこともなく運び去ってしまった。翌朝、慈寛大師が眼をさましたところ、身体ごと大きなフキの葉っぱに包まれ、露天風呂の中に入れられていた。

そして、不思議なことに、昨日の痛みはすっかり消え失せ渓谷をわたる夜明けの風もさわやかに、もとの元気ま姿に返っていた。慈寛大師は、この奇特な行為をことのほか喜び、河童の義心にすっかり感激して、そこを「河童の湯」と名付けたといわれる。それ以来、満々と湛(たた)えられたこの露天風呂の湯に満月が映ると、大きなフキの葉っぱをかぶった年老いた河童があし笛を鳴らしながら踊る姿が見られるという。

大畑町

 

※1貞観(じょうかん) = 日本の元号の一つ。859年から877年までの期間を指す。
※2丈余(じょうよ) = 1丈(約3メートル)を超えていること。

 

薬研温泉 (元祖)かっぱの湯

 

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奥薬研温泉にある、2つの露天風呂の一つ。
「夫婦かっぱの湯」と区別する為、「元祖」と呼ぶ事もあるようです。
簡素な脱衣所があるのみの質素な露天風呂ではありますが、何と無料で利用できます。

この露天風呂、かつては混浴だったそうですが、現在は時間(2時間毎)によって男女の利用が分けられています

・男性利用時間/7:00~9:00、11:10~13:00、15:10~17:00
・女性利用時間/9:10~11:00、13:10~15:00

 

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「奥薬研かっぱの里」という大きな看板がある為、見つけやすいではあります。

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が、初めて訪れた時は、ちょっとした広場にしか見えない駐車場があるだけで、「本当にここか?」と一瞬不安になるかもしれません。

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しかし、「かっぱの湯伝説」と「かっぱの湯」利用案内が立てられている所が、この温泉の入口になりますので、ここを進んでいきます。

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細い通路を少し進んでいくと、突き当たり右に階段がありますので、そこを下りていきます。

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すると、小さな建屋がありますが、そこがこの「かっぱの湯」の脱衣所となっています。
(一瞬トイレか?等と思われるかもしれませんが)

 

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簡素な脱衣所に対し、露天風呂は広めで非常に開放的です。

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渓流をすぐそばに見ながらゆっくりと温泉に浸かる。
風にそよぐ木々、渓流のせせらぎ、湯煙に反射する木漏れ日……。
非常に贅沢な安らぎの時間を無料で楽しめる、あまりに至高なる温泉となっています。

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ただし、仕切りも何もありませんので、落ち葉はもちろん、虫が浮かんでいることが多いです。というより、まず浮かんでいます。
特に夏場はアブも多いので、虫が苦手な方は利用に注意が必要となります。

ちなみに、シャンプーや石鹸の使用は禁止されています。
シャワーなど体を洗いながすようなものも一切ありませんので、注意しましょう。

タオルも各自で用意しておく必要がありますので、忘れずに持っていく事!

 

『薬研温泉 (元祖)かっぱの湯』

営業期間:4月初旬~11月初旬
利用時間:7:00~17:00 (水曜午前清掃)
男性利用時間/7:00~9:00、11:10~13:00、15:10~17:00
女性利用時間/9:10~11:00、13:10~15:00
料金:無料
泉質:単純泉
効能:胃腸病、皮膚病、婦人病
問合せ:大畑庁舎産業振興課 0175-34-2111

 

夫婦(めおと)かっぱの湯

 

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奥薬研レストハウスという施設に併設されている、奥薬研温泉もう一つの露天風呂。
元祖の「かっぱの湯」から、さらに少しだけ北西に進んだ所に位置しています。徒歩でも十分移動が可能。

「元祖」とは違い、こちらは入浴料が掛かります。ただし、一人¥230と安め。

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入浴料が掛かるのは伊達ではなく、綺麗に整備されています。

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また、完全に男女別となっていますので、「元祖」と違って時間を気にする必要がありません。
階段を下りて、すぐ手前側が男性用、奥側が女性用となっています。

 

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こちらもまた、実に開放的な露天風呂となっており、渓流をすぐ目の前に望みながらの入浴を楽しむことができます。

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雰囲気の良さとして、個人的には「元祖」の方に軍配が上がりますが、露天風呂の施設的な綺麗さを求めるのであれば、この「夫婦かっぱの湯」がお勧めとなります。

ただし、こちらも夏場はアブが多いようですので、やはり虫嫌いの方は要注意です。

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そして、この「夫婦かっぱの湯」でも、やはりシャンプーや石鹸の利用は禁止されていますので、注意。

また、この奥薬研レストハウスでは、ゆっくり温泉につかった後に、食事を楽しむことが可能であり、心行くまでこの奥薬研を堪能する事ができます。

 

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さらには、このレストハウスの隣に、足湯もありますので、露天風呂はあまり好まないという方でも、ここで楽しむことが十分に可能です。
この足湯は無料

 

『薬研温泉 夫婦かっぱの湯』

営業時間:4~10月/8:30~18:00 無休
11~3月/10:00~17:00 火曜休
料金:230円
泉質:単純泉
効能:胃腸病、皮膚病、婦人病
問合せ:奥薬研レストハウス 0175-34-2008

 

 

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アクセス方法

この奥薬研温泉には、公共交通機関が通っていない為、車を利用するのが無難となります。
ただし、薬研温泉の「薬研荘」を利用する場合、バスの停留所の一つである「大畑駅」までの送迎サービスを受ける事が可能。※要

予約!
下北駅まで列車で移動し、下北駅前のバス乗り場にて「佐井車庫」または「大畑駅」行きのバスに乗車し、「大畑駅」にて下車します。
(JRの“リゾート下北”を利用して下北駅まで移動した場合のみ、下北駅まで送迎してくれるとの事)

『下北交通バス時刻表』

 


薬研温泉から奥薬研温泉まで、片道2.5kmほどなので、徒歩での移動も一応は可能。
ただし、熊が出没する事もあるようなので、熊避けの鈴などがあれば持参する事を推奨します。

詳細は、薬研荘まで問い合わせてみましょう。

『薬研温泉の小さな宿 薬研荘』

 

 


   リンク

『薬研温泉』
『薬研温泉 かっぱの湯』
『薬研温泉 夫婦かっぱの湯』

 

 

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