恐山 ~あの世とこの世を繋ぐ日本三大霊山~

日本三大霊山 恐山

 

恐山01
恐山(おそれざん)。

青森県の下北半島を代表する観光スポットの一つ。
比叡山、高野山と並んで「日本三大霊山」の一つとして挙げられる事もあります。

 

恐山02
この恐山、その昔(藩政時代)は「宇曽利山(うそりやま)」と呼ばれていたそうですが、下北訛りによっていつしか「おそれやま(おそれざん)」と呼ばれるようになったとか。
(“宇曽利”はアイヌ語の「ウショロ(入江、湾という意味)」に由来し、それが転じて「オソレ」と呼ばれるようになった説)

 

恐山03
寺名は菩提寺(ぼだいじ)であり、本尊は地蔵菩薩。
862年(貞観4年)、平安時代の天台宗の高僧、慈覚大師円仁が一羽の鵜に導かれてこの恐山に辿り着き、地蔵尊を祀ったのが始まりとされています。

恐山04
出入り口である総門をくぐると、ガイドブックなどで良くお目に掛かるであろう山門が我々を出迎えます。

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山門の奥の方には、地蔵菩薩が祀られた地蔵殿があります。
広い境内で、非常に開放的です。

 


地獄と天国の入口への散策

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そして、地蔵殿のすぐ左側(北岸)一帯には、この恐山が“日本三大霊山”の一つに数えられる所以ともいうべき、荒涼とした岩場が広がります。

恐山10

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この恐山菩提寺、境内に入った瞬間から急に異質な雰囲気に包まれる事になりますが、その正体の一つに、この恐山が火山でもある事が挙げられますでしょうか。
菩提寺のあるこの直径約4kmもの盆地は、恐山山系のカルデラからなっており、噴気現象や温泉の湧出が北岸のいたるところで見られます。
火山性ガスの強烈な硫黄臭も漂っており、こうした現象もあってか、この北岸一帯がより一層地獄のような風景に感じられることだと思います。

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灰色の景色の中に極彩色の風車が何本も立てられて回っているこの光景もまた非常に異質なものでしょう。
水子供養や、幼くして亡くなった子供の霊を慰める為に供えられた風車。

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そして、賽の河原のごとくいたる場所に積上げられた石の数々。
親より先に亡くなってしまった子供が親を思いながら石を積み上げていき、天まで積み上げるとこの世に帰ってくることができるが、地獄の鬼に見つかってしまい、崩されてしまう…。
正にそんな地獄の風景が広がる一帯。
恐山17

 


恐山18

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岩場のさらに奥の方に進んでいくと、宇曽利湖(うそりこ)というカルデラ湖が広がります。
地獄の入り口のようでもあった北岸とはうってかわって、あまりに鮮烈な美しさをほこる湖となっています。

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湖でこの青さは反則だろ!と思ってしまうほどの透き通りっぷりです。
恐山をよく知らない人にこの写真を見せて「南国に行ってきました!」と言うと信じてしまうかもしれませんな。

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宇曽利湖畔は極楽浜と呼ばれており、正に天国のような美しい光景が広がり、このギャップがある意味不気味に思えてくるほどです。
しかしこの宇曽利湖、いくら綺麗だからといってもあまり心が安らぐような場所ではないかもしれません。
と言うのも、この湖周辺もまた強い硫黄臭が立ち込めている為、あまり長居してしまうと人によっては体調を崩してしまう可能性すらあります。

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恐山を参拝し、頭痛や倦怠感が発症したという方もいるようですが、それは火山性ガスの影響によるもの。
(恐山の霊的現象などではありません)
湖がここまで澄んでいるのも、この火山性ガスが溶け込み、酸性値の高い水となっている為、生物の育成に適していないからだそうな。
ほとんど植物も育たない荒涼とした風景が北岸に展開しているのも、この為。
とはいえ、自然の力であろうが霊的な現象であろうが、この恐山一帯の不気味な美しさに驚きを隠せないのは一緒である…だろうか。

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そしてこの恐山は、死者の御霊を呼ぶイタコの「口寄せ」が行われることでも知られているでしょうか。
「口寄せ」とは、死者の魂を我が身に宿してその言葉を伝える、というもの。
(『ナルト』の口寄せとは違いますので注意)
それを行う恐山の名物ともされそうなイタコさんですが、実は恐山には常駐していません。
恐山大祭と恐山秋詣りの時にのみ恐山に来訪するのだとか。
(その上むつ市にすら定住しておらず、八戸や青森から出張しているらしい)
しかも恐山菩提寺とは関係がない(単に恐山の境内を使わせてもらっているだけ)ので、イタコさんに関する問い合わせを菩提寺へするのは止めておきたいとことです。
ちなみに、口寄せの料金は、1人呼び寄せる毎に¥5,000とか。

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恐山32

 

そして、境内には4箇所の温泉があります。
恐山参詣者は自由に入浴できます。
入ってみたい方は、タオル等の持参を忘れずに。

恐山温泉
※画像は『下北ナビ』より拝借

 

恐山33
天国と地獄を思わせる風景、死者の魂を呼び寄せる口寄せ。
この恐山は、まさにあの世とこの世の入口とでも言うべき場所といったところでしょうか。

もちろん、そのようなオカルトな話は抜きにしても、火山特有の硫黄臭と荒野と美しい自然が織り成す独特のこの地帯は、誰もが心を打たれること必至。
青森県随一のパワースポットとしても名高い恐山。
是非とも一度は訪れていただきたい場所です。

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恐山へのアクセス

恐山35
恐山へは、JR大湊(おおみなと)線の下北駅より路線バスで移動する事ができます。
途中、むつバスターミナルを経由しますので、そこから乗車する事も可能です。
ちなみに恐山への道中、「恐山の冷水(ひやみず)」と呼ばれる湧き水のある場所があります。
“1杯飲めば10年、2杯飲めば20年、3杯飲めば死ぬまで若返る”という言い伝えのある湧き水ですが、恐山霊場からは結構離れた場所にあります。
しかし、恐山行きの路線バスは、何とこの冷水の停留所で数分間停車し、乗客に立ち寄る時間を作ってくれます

恐山36
これはありがたいサービスと言えるでしょう。
ただし、Wikipediaでも言及されていますが、濾過や殺菌処理をしていない生水であるので、飲みすぎは良くないかもしれません。
同記事に記載されている通り、本当は一度煮沸して飲用するのがベストかもしれません。…が、それはそれで若返り効果が薄れてしまうかも…などとも思ったり。
『下北交通/恐山線 路線バス時刻表』
『恐山線バス運賃表』 ※PDFファイル

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  ◆恐山◆

●開山期間:5月1日~10月31日
●開山時間:5月1日~10月中旬 06:00~18:00
10月中旬~10月31日 06:00~17:00
(大祭典・秋詣り期間は別設)
●入山料:大人¥500/人、小・中学生¥200/人、団体(20人以上)¥400/人
●問合せ先:恐山寺務所 0175-22-3825

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リンク

『下北ナビ/恐山』
『むつ下北観光案内/日本三大霊場 恐山』
『下北交通/恐山線 路線バス時刻表』

 

 

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