京都・鈴虫寺(華厳寺) ~鈴虫説法に聞く夢や努力を叶える為に大事な事、願いを一つ叶えてくれる地蔵菩薩~

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京都市西京区にある『鈴虫寺 (すずむしでら)』。
正式には「妙徳山 華厳寺 (みょうとくざん けごんじ)」といい、江戸時代中期の享保8年(1723年)、鳳潭上人(ほうたんしょうにん)によって開かれました。

上人(しょうにん)とは、仏教における高僧への敬称であり、称号でもある。

開山当時、奈良の東大寺と同じ華厳宗(けごんしゅう)という宗派であり、その再興の為に開かれたと言われていますが、後に禅宗に変わり、現在に至ります。
本尊は大日如来となっていますが、地蔵菩薩も安置してあり、開運、良縁祈願等、非常に多くの方々が祈願に訪れます。

 

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鈴虫寺最大の魅力「鈴虫説法」

 

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その名の通り、一年を通して鈴虫の鳴き声を聞きながらの説法・「鈴虫説法」を聞く事ができる事から、『鈴虫寺』という愛称で親しまれるお寺となっています。
鈴虫は通常、夏~初秋の昆虫であり、7月下旬頃に成虫が羽化し、9月いっぱいまで鳴き声を聞く事ができます。

しかし、この鈴虫寺では真冬の1月ですら4,000匹を超える鈴虫の鳴き声を聞く事が可能となっています。(これでも最も数が少ない方だとか)
今から70年ほど前、八代目住職さんが、儚い寿命しかない虫が懸命に鳴いている姿を見て悟りを開き、何とか1年中鳴き声を聞いてもらおうと研究を始めた事が始まりとなっています。

鈴虫説法は、今やこの鈴虫寺を代表する最大の魅力の一つ。

お庭や建物の写真を撮るだけでほとんどスルーしてしまうような観光寺院が増えている中、この鈴虫寺では、昔ながらの簡素なお茶とお菓子で参詣者をもてなす「茶礼(されい)」という、禅宗の教えの一つを大切にしています。
参詣者の方々を書院内へ案内し、そこでお茶とお菓子を楽しみながら数千匹もの鈴虫の鳴き声を聞くという、非常にゆったりリラックスできる環境の中で説法を聴くという、この上ない贅沢な時間を過ごす事が出来るのです。

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説法といっても、堅苦しいものではありません。
むしろ、普段の悩みや苦しみの根本たるものに焦点を当て、それらについてユーモアを交えながらどう接するべきなのか。
日々の心の持ち方について話してくれますので、非常に勉強になります。

けっこう早口で話しますが、ちゃんとはっきり聞き取る事ができ、なおかつ「なるほど」と頷く内容ばかりの話である事に、ただ感服するばかり。
時には、おもてなしのお菓子の黒い粒々を見て、鈴虫の死骸をすり潰して混ぜ込んでるんちゃうかという方もいますが、全然違いますからね、あまり変な噂流さんといてくださいね、何て冗談を言う事も。

中でも印象に残ったお話をここでまとめてみます。

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鈴虫説法 ~心に残るお話~

 

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普段から表情豊かに、にこやかにする事を心掛けるのは大切

顔の表情がなくなっている方が非常に多くなっている。その人の普段の生活ぶりや考えというのが顔に出てくる。
鏡の前でにこっとする練習をすると良い。にこやかにする事で、心が豊かになる。心に余裕が生まれる。
にこやかにできる心のゆとりがあると、良縁を呼び寄せる。
ぶすっとしていると、自ら良縁を切ってしまう事になる。

 

身体と一緒で、心を動かさないと心も固くなる

その時その場所でしか楽しめない事というのは沢山あるが、それに気づける人というのは少ない。
偶然かもしれない事、良い事も悪い事も受け止めて楽しめるくらいの柔らかい気持ちを持ってる人は強い。
(これを仏教用語で「柔軟心(にゅうなんしん)」と言う)
心を動かさなければ、心が固くなり、相手を受け入れられなくなる。
リビングでお札を祀って、良い事があっても、悪い事があっても、普段から「今日も一日お願いします」「ありがとうございます」と一声かける事をやっていたら、心の整理がついてくる。
小さなお子さんも、その姿を見て真似するようになる。
普段から感謝という種をまいていく事、この積み重ねで必ず実を結ぶようになる。
ちょっとした感謝の気持ちがあるかないかで変わってくる。
「ちょっとした事」の積み重ね。

 

信頼関係を結ぶ事の大切さ

自分の思い通りにならない事、これが全ての苦しみの根源である。
だが、自分の思い通りにならない事の方が多い。
どうやったら夢や目標は叶うのか?
一つは、自分自身が精一杯の努力をする事。しかし、努力をすれば上手くいくとは限らない。
1人での力が無理ならば、2人、3人、皆の力で乗り越えていけるかもしれない。
だが、人に協力を求めるなら、日頃からの信頼関係がないといけない。
この「信頼関係を結ぶ」という事が大事になってくる。
特に、家族は身近過ぎて大事にしない人が多い。言いたい放題、やりたい放題やって、それが当たり前だと思ってしまう人が多すぎる。
家族間の問題からくる凶悪事件も多い。

家族同士でもお互い気を使いながら敬意を表する。
家族も一人の人間であるから、敬意を怠ると厄介な事になる。

 

機が熟すということ

家族関係であっても、信頼する事を大事にすれば、それだけで良いか?
それでも足らないもの、それは「機が熟す」という事。

「その時」が来ないとなかなか前に進む事が出来ない。しかし、「その時」が来るとすーっと進む事が多い。
「その時」が待てるかどうかが大事。

最近は物事の展開が早すぎて、待つのが苦手な人が多い。
しかし、「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」「鳴かぬなら鳴かせてみせようホトトギス」「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」という言葉がある。日本人なら秀吉の「鳴かせてみせよう」が好きという方も多いかもしれないが、実際に天下を統一したのは、「鳴くまで待とう」の家康だ。
待つという事は本当に難しい。
しかも何もせずに待つのではなく、努力し続けながら待たなければならない。
厄介なのは、期限がいつなのか分からない事。期限がまだ切れていなければ頑張り続ける事ができるが、それがいつなのか分からないから一番厄介。
出口のないトンネルを彷徨うようなものだ。

 

何よりも心に響いたのが、「どうやったら夢や努力は叶うのか?それは『結果自然成(けっかじねんになる)』という禅宗の教えが一番大切である」といったお話でした。
普段から表情豊かに、心を豊かに、そして家族間であっても信頼関係を意識し、機が熟すまで待つと、何でもかんでも上手くいくかと言えば……。
決してそうはなりません。

ではどうすれば良いのか?
その答えがこの「結果自然成」という言葉の意味する事です。

数年前の正月に、京都に大雪が降った時、住職さんが朝の5時頃から途中で投げ出しそうになりながらも、ただひたすら雪かきをしていたら、開門時間には思った以上に綺麗になっていたというエピソードを挟んで、その時に「ただいま」という言葉がふと心に入ってきたと言います。

 

「只今」 目の前の事を一つ一つ丁寧にやっていく事

「ただいま」「おかえり」と普段の挨拶で使ってると思うが、「ただいま」というのは「ただただ、一瞬この時を懸命に生きよ」という禅宗の根本的な教えである「只今」という言葉で、それが心に入ってきて仕方がなかった。
投げ出しそうになりながらもただひたすら雪かきをしていたら、気がついたら雪がなくなっていた。結果が後から付いてきた。

夢を持ちなさい、目標を定めなさいとよく言うが、出来るならそうするのが良い。
しかし、あまりにその事ばかりにこだわりが強くなりすぎると、そこばかりに目がいって、「ただいま」というのが疎かになってしまう。
少しでも物事がうまく行くと有頂天になってしまい、少しでもうまく行かないとすぐ落ち込んでしまう。
そうなると「あの人はうまくいってるのに、何で私はうまくいってないんだろう」などと人と比べるようになる。
心も体もがちがちになって身動きがとれなくなってしまう

結果も大事かもしれないが、本当に大事なのは、目の前にある事を一つ一つ丁寧にやっていく事。
そして自分が自主的に動く事。
誰かに褒められたい、評価をしてもらいたいという思いでやっていると、動くための基準が全て他人さんの目になってしまう。
これでは自分がやってるとは言わない。他人さんにやらされてるようなもの。

自分が主体となって目の前にある事を一つずつやっていく事で、結果というのは後から勝手についてくる。

夢や目標がある人は、そればかりに目をやってないで、目の前にある事もちゃんとやってください。
必ず後から結果はついてきます。
これが夢を叶える為の一番手っ取り早い方法なんです。

 

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この鈴虫寺、拝観料に500円掛かります。
しかし、これだけの説法を聴く事が出来て、しかも数千匹の鈴虫の鳴き声が響き渡る部屋内で茶菓子を味わいながらリラックスまで出来て、という環境の中で行われての500円という拝観料です。

はっきりいって格安です。

今のご時世、何でも便利になってる反面、時々自分のやってる事、居場所についてあれこれ小難しく考えてしまい、結果何も出来なくなってしまう事が多くなってるような気がします。
そんな中、この鈴虫寺の説法を聴くと、これから自分がどうやっていけば良いのか、そのヒントを教えてくれるかもしれません。

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一つの願いを叶えに来てくれるわらじを履いたお地蔵さん

 

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そして、このお寺ならではの、もう一つの魅力。
それは、願いを一つだけ叶えに来てくれるという、お地蔵さんが入口に立っている事。

幸福地蔵さんと呼ばれており、正式名称は「幸福地蔵菩薩」と言います。

このお地蔵さんが他と変わっているのは、わらじを履いている事。
通常のお地蔵さんは裸足ですが、この鈴虫寺のお地蔵さんは、唯一わらじを履いた姿の像となっています。

祈願者が毎日毎日願いが叶うまでお参りするのが通常ですが、このお地蔵さんは、願い事をした人の元に訪れて、一つだけ願いを叶えてくれると言われています。

願い事の仕方は、この鈴虫寺に「幸福御守」がありますので、まずはそれを購入。
そして、このお守りには赤い文字で「幸福御守」と書かれていますので、お地蔵さんの前に立ち、「幸」という文字が見えるように手を合わせて、願い事を一つだけします
ちなみに、「幸」という文字の辺りに、丁度お守りの中のお地蔵さんの顔があるようです。

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ただし、願い事をするに当たって注意事項があります。

まず、願い事をする際、自分の住所と名前を必ず言いましょう
前述した通り、このお地蔵さんは祈願者一人一人の元に訪れて願いを叶えるという特徴があります。
その為、祈願者の住所も名前も分からなければ、如何にお地蔵さんと言えども、場所が分からなくて願いを叶えに行きようがないという事。

一つは、欲張って二つも三つも願い事をしない事
叶えてくれると言われる願い事は一つだけと言われています。
よく考えてから願い事を言いましょう。

中には、住職さんに「今の願い事キャンセル」何て言ってくる方もいたそうな。

願い事が叶ったら、お礼参りに行きましょう。「ありがとうございました」とたった一言言うだけでも十分です。
その時に、また新たに願い事をすると良いでしょう。

二つ目は、恋愛において、片思いにしか成り得ない願い事はしない事
アイドルや芸能人の誰々とつきあいたい、と言ったところでそれは叶いませんよ、という事。
恋人がほしい場合、「自分に相応しい相手」と言うのが一番であるとか。

三つ目は、家内健康、家内安全、商売繁盛といった願いは出来ません
これらはお札に祈祷するものであって、お守りでは出来ない事です。

ただ、この鈴虫寺のお札もちゃんとありますので、お地蔵さんには個人の願い事をして、お守りを常に持ちつつ、家やお店ではお札で家族、商売がうまくいくよう願うようにしましょう。

特に、よく子どもを授けてくれると言われているようですが、元来、お地蔵さんは子供の守り仏さんと言われています。
ただし、子どもを授けてほしいならば、夫婦そろって同じ願い事をするようにしましょう
奥さんが真剣に「子どもを授けてほしい」何て言ってる傍らで、旦那さんは「宝くじが当たりますように」何て事にならないよう注意。

また、この鈴虫寺に来られなかった方の為に幸福御守を複数購入し、ご利益を分けてあげる事も可能です。
お守りを購入すると、説明が書かれた白い紙がありますので、お寺以外での願い事の仕方は、それを参考にすると良いでしょう。
後になって「どれが自分のお守りだっけ?」とならないように注意。

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アクセスと参詣時期の注意

 

 

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この鈴虫寺へは、最寄りまでバスで移動する事が可能です。
京都駅から京都バス73、83番の「鈴虫寺ゆき」に乗車します。終点ですので、乗り過ごす事がなく、安心です。
四条烏丸、三条京阪、嵐山からもバス一本で移動可能。
何れも「鈴虫寺ゆき」で終点まで移動するという、簡単な移動方法です。

詳細は、公式サイトを参照しましょう。

『妙徳山 華厳寺 鈴虫寺/鈴虫寺への行き方』

 

ただし、参詣時期には注意しましょう。
鈴虫説法の際に、住職さんも冗談交じりで言いますが、土日などの休みは混雑が予想されます。
特にゴールデンウィークやお盆、年末年始などの長期休暇の時期になると、非常に多くの参詣者で長蛇の列が出来ます。

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多い時で、最寄りのバス停(およそ200m!)まで列が出来るなんて事もあるようです。
こうなると待ち時間が1時間半~2時間なんて事になってしまいます。
一応、鈴虫寺の拝観時間は午前9時~午後5時までとなっていますが、参詣者がまだいる以上は5時になっても門を閉める事が出来ず、6時半になってようやく門を閉める事が出来たなんて事もあるようです。
住職さんも「この時期は来ないでくださいね~」等と言いますが、本当に避けたいところ。

可能であれば平日に、そうでなくてもシーズンを外した土日に参詣するのが良いでしょう。

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その他の楽しみ

 

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鈴虫説法を聴き終えたら、すぐに帰らず、是非庭の方も散策してみましょう。
私が訪れた時期は、正月という冬の真っただ中でしたので、そこまでの見所はなかったものの、春や紅葉の時期等は非常に綺麗な光景が広がっている事でしょう。

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京都の街並みを一望する事も出来ます。

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また、鈴虫寺の入口階段の前には茶屋もあり、こちらで食事をする事も可能。
「ゆばまん」もなかなかの美味しさでした。

 

中には80回も参詣したという方もいらっしゃるという鈴虫寺。
それも納得の鈴虫説法の素晴らしさ。
そして願いを叶える地蔵菩薩と、今、行き詰まっている事を切り開く一つの道を示してくれるような鈴虫寺。
是非一度、京都観光の際に、鈴虫の美しい鳴き声をバックに、その教えを心に染み込ませてみましょう。

 

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リンク

 

『妙徳山 華厳寺 鈴虫寺』
『妙徳山 華厳寺 鈴虫寺/鈴虫寺への行き方』

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