山形県・山寺(立石寺) ~芭蕉の名句を生出した名所寺院~

 

山寺(立石寺)の概要

 

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山形県の代表的な観光スポット、山寺(やまでら)
“山寺”は通称であり、正しくは「宝珠山 立石寺(ほうじゅさん りっしゃくじ)」と言います。
さらに正確には、「宝珠山 阿所川院 立石寺(ほうじゅさん あそかわいん りっしゃくじ)」。

貞観2年(860年)に清和天皇(せいわてんのう)の勅命により、慈覚大師(円仁)が開山したとされる、天台宗の寺院です。

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あの松尾芭蕉も旅の途中で訪れ、『閑(しずけ)さや 岩にしみ入る 蝉の声』という、有名な句を詠んだ事でも知られています。

ちなみに、この句で詠まれている蝉は、ニイニイゼミであると判断されているとか。

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そんな由緒ある山寺(立石寺)ですが、山腹に建立された寺院であり、かつ、かなり広大でもある為、奥之院・大仏殿まで行こうとなると、ちょっとした登山をこなさなくてはなりません。
奥之院の標高は、海抜417m。麓の根本中堂(海抜258m)との標高差は、159m。
さほど高くないようにも聞こえてくるかもしれませんが、実に計1050段もの石段を登って行かなくてはなりません

エスカレーターとかエレベーターなどといった便利なものは未だ存在せず、自力で石段を登っていかなくてはなりません。

奥之院までの参拝を考えている場合は、体調や体力に十分注意する必要があります。

服装は、動きやすい格好である事が望まれます。
また、雨天後などは石段が滑りやすくなりますので、靴にも注意しましょう。

 

山寺へのアクセス

 

この山寺へは、電車でのアクセスが可能です。
最寄り駅は、JR仙山線の「山寺駅」。

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仙台駅から快速で55分前後(¥840)、山形駅から15分~20分程度(¥240)で到着します。

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駅舎の外観もまたなかなか風情があるものです。

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駅のホームから北側に、山寺のある山と寺院のいくつかを見る事が出来ます。
標高自体は大した事ありませんが、かなり急斜面であろう事が、ここからでも見て取れるかと思います。

これからあそこまで登っていく事を考えると、ワクワクしてくる……んじゃないでしょうか?

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山寺駅から登山口の入り口までは、徒歩で7分程度(約500m)。
そう離れてはいません。

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登山口までのルートは、案内板も出ていますので、迷わずに移動する事ができるでしょう。

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しかし、道中の風景もまたなかなか風情があって良いものです。
ゆっくり散策しながら進んでいくのも良いでしょう。

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そして登山口へ到着。

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早速、階段が待ち受けています。
しかし、この程度で音を上げるようでは、先が思いやれます。

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階段を登った先には、「根本中堂(こんぽんちゅうどう)」という、山寺の本堂に当たる御堂が見えます。
ブナ材が全体の6割程度用いられて建造されており、ブナ材の建築物としては、日本最古であると言われています。

登山前に、是非この根本中堂に参拝しておきましょう。

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そして、登山道へ向かうべく、本堂に向かって左の方へと進んでいきます。

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途中、松尾芭蕉と清和天皇の像が左手の方に見えてきます。

中央部には、あの名句の碑も。

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さらに奥へと進んでいくと、鐘楼(しょうろう)が右手に見えてきますが、その向かい側が石段の入り口となっています。

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ここで入山料¥300を支払い、奥へと進んでいきます。

 

 

穏やかな登山道を登って

 

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いよいよ石段地獄の始まり。
「昔から石段を一だん二だんと登ることにより私達の煩悩が消滅すると信仰されている修行の霊山です」と説明がある通り、心を鎮めながら石段を踏みしめていきましょう。

煩悩 = 苦悩や心痛の意

 

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写真を見ているだけでも大変そうに感じるかもしれませんが、木漏れ日溢れる緑の中、まだ蝉の鳴き声が響くこの山中。
意外にも心を落ち着けながら登っていくことができます。

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まさに芭蕉が詠んだ句のごとき、穏やかな雰囲気が広がります。

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途中、石段が非常に狭くなる場所もあり、人一人通るのがやっと、という箇所も出てきます。
参拝者もかなり多いですので、譲り合いながら進んでいく事が大切です。

 

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そして暫く登り進めていくと、仁王門という、山寺の見どころの一つが見えてきます。
この門をくぐると、奥之院までは近いです。

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ちなみにこの仁王門、その名の通り仁王尊像が左右に安置されており、邪心をもつ人は登ってはいけないと睨みつけているのだそうです。
邪心とは一体どんな事を言うのだろう。私は大丈夫なのか?などと思ってしまう。

 

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そして観明院や金乗院といった寺院が見えてきたら、奥之院まではもうひと息。

 

 

山寺の頂点から ~奥之院・開山堂・五大堂~

 

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ついに奥之院に到着。
夏場にこの石段の数は、非常に大変な思いをする事となりますが、登り終えた後の達成感もまた格別なものです。

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この奥之院は、慈覚大師(円仁)が中国での修行中に持ち歩いた釈迦如来と多宝如来を本尊としており、正式名称は「如法堂」と言います。
参道の終点である為「奥之院」と呼ばれているのですが、これは通称です。
その左隣には、阿弥陀如来像が安置された大仏殿もあります。

そして、この奥之院・大仏殿を後にし、開山堂・五大堂へと向かいます。

 

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途中、手すりなどがない場所も出てきますので、足を滑らせたりしないように注意しましょう。
ここではしゃいだりするのは危険です。

しかし、本当に随分登ってきたんだなぁと思う事でしょう。

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向かい側には、胎内堂という建物もあります。
随分と凄い場所にあるものですが、向こうに行く事は出来るのだろうか?

 

 

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開山堂

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そのすぐ隣には切り立った岩があり、その上には写経を収める赤い納経堂があります。
この山内では最古の建物であるようです。

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このダイナミックで美しい佇まい。
恐らく、この山寺では最も有名な寺院ではないでしょうか。

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この開山堂は、山寺(立石寺)を開いた慈覚大師(円仁)の御堂となっており、大師の木造の尊像が安置されています。

さらに、この開山堂に向かって右奥の方の階段を登っていくと、五大堂という、展望台とも言える建物があります。

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ここの階段もまた非常に狭いですので、譲り合いを心掛けましょう。

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五大明王を祀って天下太平を祈る道場との事ですが、何よりもここから見渡す景色が本当に格別です。

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この五大堂よりさらに奥側は、危険な修行の地となっている為、立入禁止されています。
一体どんな修行をするのだろうか。
非常に気になります。

 

 

一通り楽しんだなら、その後に待ち受けているもの。
それは下山。

先ほど苦労して登ってきた石段を下りていきますが、むしろ下りの方が足に負担がかかります。
もし登り時の疲労が残っているようであれば、十分に休息をとってから下山に臨むのが良いでしょう。

石段で足を滑らせたりしたら悲惨な事になります。

 

ちなみに、昭和25年(1950年)に、全長約300m、高低差約150mもの巨大滑り台が建設されたようですが(参拝客に楽しんで麓まで下ってもらう目的であったとか)、速度がかなり出る為に参拝客の尻が火傷したり、転落したりして負傷者が絶えず、危険視された為、1970年代初頭に廃止されたという話もあります。
ただ、当時の人々には意外にも好評であったとか。

 

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下山時に猫の姿も。
この辺に住み着いているのだろうか。

 

 

山寺は山形県でも有名な観光地の一つとなっていますが、このようにある程度の体力を要求される場所でもある為、誰もが気軽に訪れる事の出来る場所とは言い難いものです。
しかし、自然の美しさを楽しみながら登る事ができ、健康促進にもうってつけの場所とも言えるでしょう。
登り切った後の達成感を味わいながらの参拝と、眺める風景の素晴らしさはここでした味わえないものです。

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   リンク

 

『山寺観光協会』
『宝珠山 立石寺』

 

 

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