恋山形駅 どこまでもピンク!ピンク!ピンク!そしてハートの超個性的な駅を楽しむ
目的地まで列車移動している途中の停車駅、或いは特急列車等で駅を通過していく際、稀に「何だこの駅!?」と驚いてしまうような駅を見た事はないだろうか?
国内に多種多様に存在する駅、中にはひと際個性を放って、周辺の施設等よりも、駅そのものが観光資源の一つになってしまっている駅もあります。
今回紹介する「恋山形(こいやまがた)駅」も、その個性的な駅の一つである事は間違いありません。
どういった駅なのか、実際に私が訪れた時の様子をまとめていく事にしましょう。
風変わりな駅・個性的な駅シリーズ第7弾「恋山形駅」!
◆風変わりな駅・個性的な駅シリーズ◆
・『関口(せきぐち)駅 ~ローソンにしか見えない駅~』
・『筒石(つついし)駅 ~トンネルの中の駅~』
・『海芝浦駅 ~ホームから外に出られない駅~』
・『国道駅 ~戦前の面影を色濃く残す駅~』
・『亀嵩(かめだけ)駅 ~駅長自ら出雲そばを提供する珍しいそば屋駅~』
・『土合駅 ~秘境の中のダンジョン駅を攻略する~』
若手の鉄道・智頭急行線
鳥取県の「智頭駅」から兵庫県の「上郡(かみごおり)駅」を結ぶ智頭急行線。
今でこそ第三セクター鉄道の中でもトップの収益を誇るほどの路線となっていますが、かつて国鉄時代に建設が進められている中、経営悪化の影響で一時は建設が凍結されるという経緯があります。
しかしその後、鳥取・岡山・兵庫の3県と関係12市町村が主体となって智頭鉄道㈱を設立し、着工から30年の歳月をかけて、完成・開業に至ります。
平成6年12月に開業した、割と新しい路線でもあるのです。
どこまでもピンク一色!恋山形駅のピンクに溺れる
「恋山形駅」は、そんな智頭急行線の駅の一つ。
智頭駅のすぐ次の駅となっています。
しかし、そんな概要などどうでもよくなってくるレベルの強い個性が、この駅には存在します。
何よりも目を引くのは、どこまでもピンク色に統一されたその佇まい!
いや、一部の女子でも抵抗があるようだ。
恋山形駅、躍進の歴史
この恋山形駅、開業前の時点では「因幡山形駅」という駅名になる予定でしたが、住民の希望もあって、人を招く「来い」という意味と、恋が叶う新しいスポットの意味を掛けて「恋山形駅」という名称に変更され、開業に至りました。
しかし、駅の設置場所が急な細い坂道を上った所という不便さもあってか、1日の平均利用客数はたったの3人ほどという状況にありました。
平成24年に、駅名に「恋」がつく全国に4つしかない駅 ※ “恋駅プロジェクト”を立ち上げ、その翌年「恋駅きっぷ」という企画切符を限定販売したところ、これが大好評であっという間に完売。ちなみに、それまではコレといった特徴のない、いかにも地方の小さな駅といった質素な佇まいでしたが、平成25年6月9日、駅全体を現在のようなピンク一色にする大胆なリニューアルを実施。
そのあまりの変貌っぷりは一気に話題となり、TVやSNS等を通じて一躍有名な駅の一つとなります。
※ = 駅名に「恋」がつく駅は、他にJR北海道の「母恋(ぼこい)駅」、三陸鉄道の「恋し浜(こいしはま)駅」、西武鉄道の「恋ヶ窪(こいがくぼ)駅」があります。
とは言え、やはり地方の、特急列車も止まらない駅。結局は車で訪れる方が多いようです。
ダイヤも1時間に1本あるかないか、といったスカスカさ。
時間帯によっては2時間待ちなんて事にもなりかねません。
列車の場合、訪れる時間に注意を払わなければいけないところもまた、難しさに拍車をかけています。
わざわざ遠方からこの駅目的で列車で移動してきて下車するような人は、私のような物好きくらいのもの…。
しかし、この強烈な個性を放つ駅にたった一人で過ごすのも、これはこれで面白い…のかもしれない。
ただ、智頭急行線には、土日祝日及び夏季、冬季、春季のシーズンに1日乗り放題となる切符「智頭線1日フリーきっぷ」があります。
大人一人1,200円で智頭急行線の普通列車に一日何度でも乗車が可能。
しかも、智頭急行線区間であれば、自由席特急券を購入する事によって、「スーパはくと」や「スーパーいなば」の特急列車自由席に乗車する事も可能です。
上手く使いこなすことによって、列車でも比較的楽に恋山形駅にアクセスする事が出来ますので、是非活用したいものです。
ホームに描かれているイラストは、『鉄道むすめ』の「宮本えりお」というキャラクター。
『鉄道むすめ』とは、実在する鉄道会社の現場で働く女性、という設定のオリジナルキャラで、玩具メーターの「トミーテック」が中心となって展開しているコンテンツ。
キャラクター名は、それぞれ所属する鉄道会社の駅名や、列車、沿線施設に由来。
智頭急行線のイメージキャラである「宮本えりお」は、宮本武蔵駅と、上郡駅の逆読み(かみごおりえき)からネーミングされているようです。
「鉄道むすめ」について興味がある方は、コチラを参照してみてください。
恋のスポットとしての駅を楽しむ
1番ホームの入り口付近には、ハートのモニュメントがあります。
モニュメントの上には「恋が叶う鐘」というのがあり、周りにはハート形の絵馬が掛けられています。
ここで恋の成就を願ってみるのも良いかもしれない。
ちなみに、ハート形の絵馬は、駅のすぐ脇にある休憩所内の自動販売機にて販売されています。
確かに、ピンク色の小屋では落ち着いて休憩は出来ない…かもしれない。
とはいえ、自販機とテーブルはしっかりピンク色&ハートでいっぱいですが。
自販機とホームの鉄道むすめ「宮本えりお」のイラストのタッチがだいぶ違ってますが、別のイラストレーターが手掛けているのだろうか?
そして、この自販機にハート型の絵馬が販売されています。
絵馬は一枚400円。
他にも恋山形駅にちなんだキーホルダーや御守りも販売されています。
興味ある方は、記念品として一緒に購入していくと良いでしょう。
しかし、自販機で絵馬や御守りを購入するというのも、ここでしか体験できないような…。
ちなみに、このハート型の絵馬は、1番線のハートのモニュメントにピッタリ嵌まるようになっています。
駅の入り口脇には、「恋ポスト」というものが設置されています。
このポストは智頭急行㈱が設置したもので、毎週月曜日(祝日の場合はその翌日)に回収されます。
日本郵便㈱が直接管理しているポストではない為、智頭急行が嘱託した地元住民の方や智頭急行職員が回収し、山形郵便局へ持ち込むという手間が掛かっていますので、投函日によっては、届けられるまで時間が掛かります。
しかし、ここで投函した郵便物には、山形郵便局のハート形の風景印が押印されますので、記念のハガキや手紙等を書いてみるのも良いでしょう。
もちろん、切手は忘れずに貼っておきましょう。
切手の貼り忘れで返却されても、ハート形の風景印は押印されませんので、注意。
駅周辺もこだわりがたっぷり!
外灯までもがピンク色にされており、駅の案内板までもハート型で「恋がかなう駅」という謳い文句が記載されている。
周囲の豊かな自然の緑とは、あまりにもかけ離れて浮きまくった雰囲気であるのが、これはこれで面白いのかもしれません。
でも、ここまで来ると、恋山形駅って、ただの恋愛に関するイベントがあるだけで実際に列車なんて走っていないんじゃ?
などと思ってしまう方もいるかもしれない…。
それはさすがにない…か?
とは言え、地元の利用者よりも、この駅に旅行目的で来る人の方が圧倒的に多そうなので、この思いっきりさ加減は、ある意味ちょうど良いのかもしれない。
最後に
強烈な個性を放つ恋山形駅。
一見するとニッチな色物スポットのようにも見えてしまいがちですが、実際に足を運び、駅の歴史を調べてみると、駅と周辺地域の活性化に取り組むための多大な努力が注ぎ込まれた駅である事が分かってくると思います。
他ではまず味わえないこのあまりの独自性をもった駅。
その雰囲気に翻弄されてみるのもまた、新しく面白い試みの駅と言えるのかもしれません。
そして、現役の駅が恋愛のスポットというのもまた面白いもの。
恋の成就、発展を願いにこの恋山形駅に訪れるのも良いでしょう。
リンク
■『智頭急行株式会社』
■『鉄道むすめ ~鉄道制服コレクション~』
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