列車と路線バスで行く四国太平洋沿岸横断の旅 #4・3日目、室戸岬~阿南市・蒲生田岬への道中
“四国太平洋沿岸横断の旅” 第4弾。
旅の道中3日目の内容です。
今回は、室戸岬(むろとみさき)より路線バス、列車を駆使しして徳島県阿南市への道中、そして四国最東端の地『蒲生田(かもだ)岬』までの移動についてまとめます。
この日は20km以上もの徒歩移動をこなすこととなります。
■『列車と路線バスで行く四国太平洋沿岸横断の旅 #2・1日目、高知市~足摺岬への道中』
■『列車と路線バスで行く四国太平洋沿岸横断の旅 #3・2日目、足摺岬~四万十市、室戸岬への道中』
室戸岬から徳島県への移動
室戸岬の日の出
今回の“四国太平洋沿岸横断の旅”のきっかけとなった室戸半島と足摺海底館、これらの踏破をついに果たした初日と2日目。
3日目となるこの日は、どうせなら室戸岬からそう遠くない場所にある四国最東端の『蒲生田(かもだ)岬』にも寄ってみようと画策し、路線バスで室戸半島東側の端の駅、甲浦(かんのうら)駅へ向かい、鉄道で徳島県の阿南市へ向けて移動していく段取りで進めていく事に。
3日目もまた晴れの予報となっており、この日もまた日の出を見れないものかと朝5時に起床します。
しかし、好きでやってるとはいえ、連日5時起きというのもまた慣れてないと辛いな。
この日(3/24)の日の出時刻は06:03。
ホテルの客室からでも見る事が出来ますが、ここはやはり外から見てみたい。
という事で、日の出時刻のだいたい20分ほど前にホテルを出る事にします。
ホテルのすぐ南側も絶好のポイント(だと思われる)。
室戸岬へと続く遊歩道が海沿いにあるので、ここを通って自分なりにベストな場所を探す事に。
足摺岬の日の出も素晴らしかったですが、この室戸岬からの日の出もまたなかなかのものです。
ダイナミックな岩礁の影もまたどこかアーティスティック。
この日の出発時間は、かなり早めの06:37。
陽がある程度昇ったら、急いでホテルへ戻り、身支度を整えてチェックアウトをこなし、ホテル前の停留所にてバスを待ちます。
高知県最東端の駅、甲浦駅からの鉄道の旅
およそ50分程度で甲浦(かんのうら)駅に到着。 甲浦駅は、高知県最東端の駅。
無人駅ではありますが、駅舎は思った以上に立派です。
駅舎の横にあるのは歩道橋かと思いきや、ホームは高架橋上にある為、ここを上っていかないと列車に乗ることが出来ません。しかし、高知県って宿毛(すくも)駅といい、奈半利(なはり)駅といい、この甲浦駅といい、地方の規模とは裏腹に大層な造りをしているもんです。
ただ、この甲浦駅、エレベーターもありませんので、バリアフリーが浸透しつつある昨今と反する構造でもあります。
そんな事は問題にならないほど利用客が少ないという事か?
前にも言いましたが、旅の終わりと始まりという、全くの相反する二つの要素が混じるのが面白いと思うのです。
ちょうど桜が咲き始めた時期だったからか、まるで桜祭りのごとき飾り付けがされています。
そして、私一人のみの乗客を乗せ、列車は動き出します。
これにて初の高知県を後にし、徳島県へと移ります。
これで今回の旅の大義名分である室戸半島の両端の駅、奈半利駅と甲浦駅を、路線バスを駆使して自分なりに繋げてみる、という目標が達成されました。
思ったよりも長い道のりではありましたが、なかなか面白い道中でした。
阿南市までの道中
甲浦駅を出発し、僅か二駅、時間にしてたったの12分ほどで阿佐海岸鉄道の終点、そしてJR牟岐(むぎ)線の始発駅である海部(かいふ)駅に到着します。
たった二駅の移動ですが、乗り換える必要があります。
どうせ鉄道は繋がっているのだから、直通にしてくれたら良かったのになぁ、などと思いながらも列車を乗り換えます。
そして、Twitterのフォロワー様よりお勧めされた『鯖大師本坊(さばだいしほんぼう)』へ立ち寄るべく、鯖瀬(さばせ)駅まで向かいます。
鯖大師本坊にて
08:23、鯖瀬駅に到着。
ここで下車し、鯖大師本坊へと向かいます。
駅から徒歩5分程度の近い場所に位置していますので、列車移動でもアクセスは容易です。
牟岐線のダイヤがすかすかなのがネックではありますが…。
四国八十八箇所霊場番外礼所(四国別格二十霊場第4番礼所)であり、本尊は「空海」の名で知られる弘法大師となっています。
鯖大師本坊は通称であり、正式には「八坂寺(やさかでら)」と呼びます。
非常に神秘的な空間が続きます。
さらに、境内脇にある坂道から山道を登っていくと、これまたなかなかの景色が広がる場所へと出てきます。
時間と体力に問題がなければ、歩きやすい格好で挑戦してみるのも良いかもしれません。
適度に時間が潰せたところで、09:54 鯖瀬駅発の列車に乗るべく、駅へと戻ります。
牟岐町散策
09:59、次の乗換駅となる牟岐(むぎ)駅に到着します。
しかし、次の普通列車の発車時間は、11:10。
1時間10分もの待ち時間が発生する事に。
(特急列車を利用する場合、「特急むろと」が10:11に発車します)
さすがにこれは暇を持て余す事になるので、牟岐町内を散策してみる事に。
鯖瀬駅は無人駅だった為、整理券を駅員さんに見せて、鯖瀬駅~牟岐駅までの運賃を精算しようとしたところ、下車予定の阿南駅まで通しで精算したうえで発券をしてもらい、しかもこの駅の外に出ても良いという許しまで得る事が出来ました。
鯖瀬駅~阿南駅間は101km未満の距離の為、本来なら途中下車はできないのですが、さすがに待ち時間が多すぎるので、配慮してくれたか。
ありがたいところ。
という事で、あまり遠くまでは行けませんが、駅周辺を散策します。
牟岐町、特に何があるというわけではありませんが、海と川沿いの町並みというのは、これだけでも魅力的なものです。 非常に爽やかな気分に浸れます。 それにしても、路地裏というものには妙に心惹かれるものがありますよね。 小散策を終えて牟岐駅へ戻り、阿南駅に向けて移動を再開します。
12:10、阿南駅に到着。
この駅から南に3分ほど歩いた場所に、この日の宿泊先である「阿南プラザイン」があります。
さすがにこの時間ではまだチェックインが出来ない為、手荷物をフロントに預けてすぐに阿南駅へと戻ります。
この為だけに一旦阿南駅を降りたようなもの。
何しろ、これからこの日のメインイベントとも言える『蒲生田岬』までの往復徒歩移動が待ち受けている為、手荷物は必要最小限にとどめておきたいところ。
12:22発の列車にて阿南駅から二駅戻り方向に移動し、阿波橘(あわたちばな)駅へと移動します。
(この阿波橘駅にも阿南駅にもコインロッカーすらない)
四国最東端「蒲生田岬」への移動
まずはバスで最寄の停留所である「横尾」まで移動する
蒲生田岬の(一応便利な)最寄駅である阿波橘駅に到着。無人駅です。
時間帯によっては、この駅付近の停留所から蒲生田岬最寄の横尾を通るバスが出ているのですが、非常に限定的である為、通常は阿南バスの橘営業所まで移動しなくてはなりません。
阿波橘駅から阿南バスの橘営業所までは、およそ1.5kmほどの距離が離れています。
早速ちょっとした徒歩移動をこなさなくてはなりません。
が、軽い準備運動と思いながら徒歩移動します。
駅から南側へひたすら道なりに進んでいけば、迷う事なく橘営業所へ到着します。
しかし、駅周辺の方がこの近辺の拠点とするには便利な気がするんですが、土地が確保出来なかったのだろうか??
ここで13:13発の椿泊(つばきどまり)行きのバスを待ちます。
地元の初老の女性とのやり取り
バスが遅れている中、時刻表を確認しながらバスを待っていると、地元の方と思しき初老の女性が「初めて乗るの?」と問いかけてきました。
「えぇ、ここは初めてなんです」「今ちょうど四国を観光で回っていまして」などと言った他愛無い話をしていると、ご親切にこの路線のバス時刻表の紙を探して私にくれたものです。
簡単な路線図も記載された時刻表の紙を眺めながら、「あ、そうそう、この『横尾』という所まで行こうと思うんです」とそこを指しながら話しかける。
「ここから『蒲生田岬』まで歩いてみようと思ってまして」と言うと、「あんな所まで歩くんか!?」と驚かれました。
って、普通の反応か。
「山いくつも超えないといかんから本当に大変よ」「あの近くに(かもだ岬)温泉があるけど、あそこまでタクシーで3,000円以上掛かったか…それくらい離れてるよ」と。
いやなに、一応事前の調べでそれは把握してはいます。
山道が連続しているというのも調査済みではあります。しかし、せいぜい40mそこらの高低差しかないので、そこまで過酷な道のりではなさそうです。(実際そうだった)
確かに片道9kmほどもありはしますが、私は過去に本州最東端の『トドヶ崎』へのバス移動を経験しており、あの時は高低差100m超もの山道を延べ16kmほども歩き通した為、今回はそれほどの過酷さはないだろうと判断したもの。
そうこうしている内に、10分ほど遅れてバスが到着。
これに乗り込み、「横尾」停留所まで移動します。
橘営業所から30分ほどで横尾停留所に到着。
その2~3分ほど前に、先ほどの女性が「兄ちゃん、ホント気をつけてな」「ケガせんようにな」と声を掛けてくれました。
旅先でここまで親身になられたのは初めてです。
本当にありがとうございます。気を付けますとも。
蒲生田岬までの9kmウォーク
横尾停留所にて下車。
川沿いの小さな町ですが、ずいぶん狭いところにバス停を設けたもんだ。
ここからいよいよ蒲生田岬までの長い長い徒歩移動が始まります。
スタート開始は、13:50。
Googleマップ上では岬まで片道9.1km、徒歩で2時間15分との情報が。
果たしてうまくいくかな?
海と山の美しい景色を楽しみながらどんどん進んでいきます。
こう綺麗な景色が続くと、片道9km以上もの徒歩移動も悪くはありません。
長くなるので、道中の詳細についてはまた改めて記事にまとめようと思います。
四国最東端の地『蒲生田岬』
到着時刻は、15:15頃。
ここまでの所要時間、1時間25分。
Googleマップの2時間15分という案内を50分も縮める事に成功。
平均時速6km程度の速度で歩き通した事になるので、だいぶ早めに歩いたほうか。
この駐車場のすぐ近くにモニュメント等が建てられていますが、灯台がある本当の先端部は、まだ先の方にあります。
ただ、本当ならモニュメントの脇の遊歩道を通って灯台まで行くのですが、2018年3月現在、この遊歩道は通行止めとなっている為、迂回路を通って灯台まで行く事になります。
迂回路は駐車場のすぐ隣の方にありますが……なかなかの山道を歩かされる事になります。
動きやすい格好で訪れるのがベスト。
手すりが設置されていなければ、簡単に転げ落ちそうな場所もありますので、注意して進みましょう。
迂回路を抜けると、いよいよ灯台のある小高い山の前に出てきます。
灯台は目前ですが、最後の難関である、灯台へと続く階段を上っていく必要があります。
一段一段がけっこう高め。
なかなかハードですが、無理のないペースで頑張りましょう。ゴールは目前。
しかし、9km歩いた直後にこの階段は、けっこう辛い。
ついにやりました!
徒歩で来るとその達成感は、あまりにも格別。
この日は、海の遥か向こう側に和歌山県の山もうっすらと見る事が出来ました。暫くこの雄大な海原の光景を眺めながら、休憩を取ります。
蒲生田岬からの帰り
10分~15分程度の休憩を取り、次は横尾バス停までの帰路へとつきます。
ここからまた9kmもの道のりを引き返さなくてはなりません。
帰りはさすがに少しだけペースを落とそうかと考える。
若干の余裕がありそうなので。
とはいえ、全く知らない道をひたすら歩き通した行きとは違い、帰りはついさっき通った道を戻っていくだけなので、気分的にもいくらか楽になります。
「あぁ、そういえばここも通ったな」といった、ちょっとした楽しみを味わいながら歩く事が出来ます。
……多分。
ただ、さすがにあれだけの道を歩いてキツイ階段を上り下りして、といった帰りの9kmウォーキングは、これはこれで大変。
慣れていないと、さすがに足が少し痛くなってきます。
しかも今更運動用の靴を履いてこなかった事に、ちょっとした後悔をする事になるのですが……挫けている場合ではないので、ただひたすら歩き通します。
そして、スタートから3時間35分ほど経過した17:25前後、ついに横尾バス停まで戻ってくる事に成功しました。
ここから蒲生田岬までの往復18kmをこなし、かつ、蒲生田岬の灯台まで上り下り含めての3時間35分。
蒲生田岬での滞在時間は30分ほど。
という事は、18kmほどの往復の道のりを3時間5分で歩き通した事になります。
徒歩の平均時速はやはり6km程度
……随分ハイペースで進んだもんだな。
おかげで、目標の横尾バス停17:52発のバスには余裕で乗る事が出来ましたが、…もう少し遅めに歩いてもよかった。
さすがに足に痛みが出てきました。
歩けないほどではありませんが。
18:10頃、バスは橘営業所に到着。
ここから再度1.5kmほどの道を北上し、阿波橘駅を目指します。
もうすっかり日が暮れてしまった18:48、阿南駅へ向けてこの日最後の移動をこなします。
3日目の宿泊、阿南プラザインと夕食
18:54、阿南駅に到着。
先ほど荷物を預けた阿南プラザインに戻り、チェックインを済ませます。
この阿南プラザインは、よくあるタイプのビジネスホテル。
しかし、この内装を見て落ち着いてしまうのは、私が普段の出張に慣れてしまったせいなのか?
チェックイン時に、ポイントカードを貰いましたが……もうほぼ来る事はないであろうホテルのポイントカードを貰っても、どうしようもないな。
しかも、1泊1ポイントで、20ポイント溜まると2000円返金という、なかなか微妙な特典だ。
それはさておき、今日の夕食を何にしようかと考え、周辺の地図を調べてみる。
……って、ホテルの近辺にコンビニや食事が出来る場所があるってのは、本当にありがたい事なんだなとしみじみ感じる事となりました。
初日、2日目と、ホテル周辺には何にもなく、食事も困るような所だっただけに。
と、ここでホテルから東へ徒歩10分ほどの場所に「中華そばヒロ」という、めぼしいラーメン屋を発見したので、そこに行ってみる事に。
…って、今日は本当によく歩くな。
ここで中華そば肉入りを注文してみる事に。
あっさりとした豚骨ラーメンですが、なかなかの味です。地元の人たちに親しまれているラーメン屋。
こういったチェーン店にはない地元ならではのやり取りが見られるところもまた、良いのかもしれません。
ただ、出てくるまでに時間が掛かったのがやや残念ではありますが。
そしてホテルへと戻り、3日目は終了となります。
次回はいよいよ最終日の4日目です。
リンク
■『四国別格霊場 第4番礼所 鯖大師本坊』
■『蒲生田岬/徳島県観光情報サイト 阿波ナビ』
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