能登半島北部 路線バス周遊の旅
能登半島北部を路線バスで周遊する
石川県、能登半島。
北陸地方の、日本海に腕のように伸びた半島で、金沢から結構離れているせいもあってか、場所は知ってても行ったことはないという方がもしかすると多いかもしれません。
現在、能登半島を走る列車は「穴水(あなみず)」という半島のやや中央部が終着駅となっており、さらには運行本数も少な目という結構半端な路線となっております。
能登半島の見所は、輪島市の朝市や白米(しろよね)千枚田、碌剛埼(ろっこうさき)等が挙げられるかと思いますが、その何れもが穴水駅からかなり離れた場所に位置しているため、マイカーやレンタカー等でしかまともに回れないようなイメージもあるかもしれません。
しかしこの能登半島、実は路線バスがかなり充実しており、これを駆使すれば半島の隅々まで周遊する事が可能となっています。
かつてこの能登半島を走っていた「のと鉄道」の旧駅舎を利用して“道の駅”となって生まれ変わった場所も多く、そこをバス停、バスターミナルに再利用しているところも数多くかります。(なので停留所の名称も「○○駅前」という名残の深いものも多い)
それも思ったより複雑な路線構成となっており、バスで目的地まで行こうと思ってもどれに乗れば良いか分からないレベルかもしれません。
中には土、日、祝日は1本しか走っていなかったり、まる一日運休していたりする路線もあります。
この能登半島、見た目とは裏腹にかなり広いので、“バスがないなら徒歩で”なんて気軽にはいきません。(時間と体力と装備が整っているなら話は別かもしれませんが)
なので、事前に調べておかないと非常にやっかいな事になる可能性もあります。
こうなると面倒くささが際立ってくるかもしれませんが、敢えてバスを利用して半島を回るというのもなかなか面白いものです。
面倒な計画、調べ方を間違えたらバスが運休しているかもしれないという危険性。だからこそ、それらが上手く計画通りいったときの達成感というものは何とも言い難いものがあります。
“旅は道中こそ面白い”をまさにそのまま体感することとなります。多分。
とはいえ、やはり乗継計画を立てるのも骨が折れるかもしれません。
そこで今回からは、私が実際に路線バスをいくつも乗り継いで、能登半島の見所が集中している北部を周遊していった事についてまとめていこうかと思います。
もし、バスを利用して能登半島を回ってみたいとお考えの方がいらっしゃいましたら、参考程度に目を通してみてください。
と言いましても、バスの時間が合わなくて徒歩でかなりの距離を移動したり、バス周遊も能登半島先端部に限定されていますので、どこまで参考になれるか分かりませんが…。
能登半島路線バス周遊プランを練る
まずは、どこを見て回りたいかをリストアップしなければ話にならないので、目的の候補地を決める。
能登半島の見所を調べ、白米(しろよね)千枚田と、能登半島の先端部である禄剛埼(ろっこうさき)、そして金剛崎の3ヶ所を主な目的地にし、ついでに旧蛸島駅や倒さ杉(さかさすぎ)も寄ってみたいと思い、バスの時刻表を何回も見ながら周遊プランを考えることに。
しかし、バスの時刻表もかなり見辛いので、結構苦労しました。。
輪島市の朝市も非常に気になってはいたものの、今回は時間があまりない事と、金沢から輪島市へはバス直行便もあるため、また行こうと思えば比較的行きやすい場所でもあったため、今回は見送ることに。
そして今回、私が行動を起こしたのは3月下旬の土曜の夕方から、月曜日までの2日半(月曜日は休みをいただいた)。
土日祝日だと運行していない時間帯のあるバス路線も出てくるため、それらを考慮に入れ、最適なルートを絞り込んでいき、そして最終的には次のように決定。
2.白米千枚田
3.禄剛埼
4.金剛崎
5.旧蛸島駅
6.倒さ杉
7.穴水駅まで移動し、金沢へ ※平日であればこの順序を逆にする事も可能ですが、土日祝日は禄剛埼から白米千枚田への最短ルートを走るバスが(時間的に)運休となっている為、この順番に回るのが最適。
まず、土曜日は夕方まで石川県にて仕事があったので、それを終えてから金沢まで移動。
金沢より半島北側の輪島市へ直行バスにて移動し、そこで1泊。
そして次の日の早朝より「輪島駅前」からバスに乗り、白米(しろよね)千枚田⇒禄剛埼(ろっこうさき)⇒金剛崎⇒旧蛸島駅⇒倒さ杉(さかさすぎ)⇒穴水 と駆け巡り、穴水駅より「のと七尾線」に乗って金沢へ戻り、金沢でさらに1泊してから次の日に帰る、というプランを立て
ることに。
実際に行動した内容
土曜日(輪島市への移動のみ)
20:10⇒ 金沢駅東口の1番乗り場にて「輪島マリンタウン」行きの輪島特急線バスに乗り、22:26「輪島駅前」にて下車する。運賃¥2,260。そして、こんな時間に輪島市に到着しても、もはやお店はコンビニと一部の飲み屋をのぞいて全て閉まっているので、大人しくホテルで休む。
本当はもっと早い時間に輪島市へ向かいたかったのですが、この日は仕事が入っていた為、どうしてもこの時間が限界だった。
日曜日(本番)
07:15⇒ 輪島駅前より「宇出津(うしつ)駅前」バス(町野線)に乗り込み、07:35「白米千枚田」にて下車。千枚田と日本海の景色を楽しむ。…が、次の目的のバスの時間は09:30。やや時間を持て余す事に。
09:30⇒ 再び「宇出津駅前」行きのバスに乗り、09:43「曽々木口」にて下車。ここでバスを乗り換える。
09:50⇒ 「狼煙(のろし)」行きのバス(大谷線B)に乗り換え。曽々木口からの狼煙行きは土日祝日だとこの1本しかない為、十分に気をつけること! ちなみに平日なら3時間置きに後2本の運行がされています。この場合は「木の浦」バス停にてさらに乗り換えが必要となります。
10:41⇒ 終点「狼煙」に到着。すぐ近くにある能登半島最北端の岬「禄剛埼(ろっこうさき)」へ向かう。徒歩で約15分前後。ちなみにこの碌剛埼へは狼煙から徒歩でしか行けません。
11:30頃⇒ 碌剛埼を堪能した後、次の目的地「金剛崎」まで約3kmの道のりを徒歩で向かう。次のバスまで2時間も待つ羽目になる為。坂道を上っていくのでやや大変ではありますが。
12:20頃⇒ 金剛崎に到着。「空中展望台」と「青の洞窟」を見る。が、正直あまり大したことない規模の割にはセットで¥1,500はやや割高だなぁなどと思ったりする。とはいえ、展望台や周辺からの景色は最高ですが。
13:15頃⇒ 13:35最寄のバス停「葭ヶ浦」発のバス(木の浦線)に乗るべく、金剛崎を後にする。
13:35⇒ 「葭ヶ浦」よりバスに乗り、14:05「弁天公園」にて下車する。旧蛸島駅や放置された車両を見てちょっとしたノスタルジーに浸る。とは言え、本当にこれくらいしかないので、あまりこういったものに興味がない方は拍子抜けするかもしれないので、廃線マニア以外の方にはここはあまりお勧めはしません。
どちらかというとマニアックな場所に属するだろう。ここをスルーしてそのまま「すずなり館前」まで移動し、そこからまた別の目的地に移動するのが無難。
14:00頃⇒ ここでもまたバスの待ち時間が2時間となってしまった為、次の目的地「倒さ杉(さかさすぎ)」まで徒歩で移動する。しかし、この旧蛸島駅から「倒さ杉」までは6km以上はある為、徒歩での移動はまずお勧めしません。
「倒さ杉」に行きたい場合は、マニアックな蛸島駅をスルーして「弁天公園」で降りずにそのまま「すずなり館前」まで移動して、そこから最寄のバス停(「善慶寺前」)まで行くか、タクシーを使うことをお勧めします。
15:15頃⇒ 「倒さ杉」に到着。思ったよりも文字通りに倒れたかのように地面に伸びた不思議な迫力のある杉に少し驚く。
15:55⇒「倒さ杉」から北東へ少し戻り、「能登飯田」バス停より「宇出津(うしつ)駅前」行きのバスに乗る。 しかし、後になって実は「倒さ杉」にもっと近い「善慶寺前」というバス停がある事に気づく。(「能登飯田」から「善慶寺前」を通って「宇出津駅前」へと向かう)
17:01⇒ 終点「宇出津駅前」に到着。こちらもかつての駅を立て直したもの。
17:31⇒ 「穴水駅前」行きのバスに乗り換える。18:27に穴水駅前に到着する。これにてバスでの移動は全て完了する。
18:50⇒ 「穴水駅」発の「のと七尾線」列車に乗り、途中の「七尾駅」にてJR七尾線に乗換え、金沢へと戻る。
と、このような内容でとりあえず“予定通り”に事は進んでいきました。
正直、もっと工夫の余地はあったかと思いますが、限られた移動手段で思ったより色んな場所にいけたものだと我ながら思ったりしています。
他にももっと色んな場所にも行ってみたかったんですが、それらについてはまたの機会にとっておこうかと思います。
次回から「白米(しろよね)千枚田」、「禄剛埼(ろっこうさき)」、「金剛崎」等の詳細についてまとめていこうかと思います。
道中のバス車窓からの景色もなかなか素晴らしいものがありますので、こちらについても詳細をまとめようと思います。
リンク
■『北陸鉄道株式会社・路線バス情報』
..●輪島特急線・時刻表
..●町野線/大谷線/木の浦線・時刻表 ※PDFファイル
..●穴水~宇出津~珠洲鉢ヶ崎・時刻表 ※PDFファイル
ローカル路線バスの旅が醸し出す趣がいいね。待ち時間が惜しくて徒歩で移動とか、自家用車の旅じゃあ味わえない。
ローカル路線バスには独特の趣があって個人的にはかなり好きです。
ゆったりとした時間を感じつつも、今旅に出ているんだなという実感が味わえる、不思議な感覚がたまらないものです。
いつも、拝読させていただいて、スポットのチョイスと交通機関の情報のご配慮に感服しております。
高知県の旅行ルートの問合せのご回答も、的確なご判断とご助言をいただき、ありがとうございました。
過去、北西に吉方取りに参りました折、北鉄バスに乗り、廃線跡を縫う路線バスに乗り、能登半島を回って来ました。わたしは羽咋駅からバスで羽咋市の能登一宮・気多大社参詣、志賀町富来の断崖を見て来ました。能登半島外浦の西からの風にやられながら映画ゼロの焦点のシーンを思い出しました。この厳しい自然環境に接してみて、感慨に浸ってました。志賀町富来から志賀町高浜経由で七尾駅へ。氣多本宮参詣、バスで能登二宮参詣、七尾駅に戻り穴水駅から珠洲市方面へのバスに乗り、宇出津経由で松波で下車して松岡寺に行って来ました。浄土真宗本願寺派の寺院で親鸞直系子孫ながらも加賀から追われ能登の果てに落ち着いた歴史があるようで、なにがなんでも行ってみたいと思ったのでした。松岡寺はバス停からも他を圧倒するくらいの立派な屋根が見え、本堂は荘厳で、中を案内していただいて寺を辞した後清々しい気持ちになれました。松波の街を散策し地元の酒蔵で地酒を買いまして、帰りのバスで内浦を眺めながら穴水駅へ戻りました。
のと鉄道に乗り、七尾駅から能登半島の東岸を走る高速バスに乗り、高岡駅へ出ました。高岡駅行きの発車時刻まで時間があり、七尾市の東エリアの半島を周回する路線バスに乗り、半農半漁の生活の様子を見て来ました。
イシザカ様
高知、愛媛の旅は無事に楽しめましたでしょうか。
能登半島周遊のお話をここまで事細かく教えていただき、恐縮です。
能登半島は路線バスが思ったよりも発達していて、バスならではのゆったりとした道中、そして能登半島の雄大な景色をたっぷり味わいながら、限られた時間を最大限に駆使して楽しんだものです。
とはいえ、北東部のみの周遊に終わっている為、穴水以南はまだ私にとっては未知の場所。まだまだ興味深い場所が多いもんだと、しみじみ思いながら読ませていただきました。
その地でしか味わえない生活風景、景色など、車での旅では気づけないような場面をゆっくり楽しむ事ができるのが、バス旅の魅力の一つだと思います。是非また能登半島をバスで周遊してみたい。
その時の参照にしてみたいと思います。