あなたの知らない沖縄へ 絶海の浪漫孤島・大東島への旅 ~Day2・南大東島の文化と歴史に触れる周遊の旅~
沖縄・東の果ての孤島、大東島の旅シリーズ第4弾。
2日目の南大東島での周遊についてまとめていきます。島ならではの地質が生んだ池、広大なサトウキビ畑から作られるラム酒、海と岩の絵画的美しさの『塩屋海岸』、島の歴史を静かに語る港『西港』。
今回も見どころ満載の周遊ルートをお楽しみください
■大東島への旅シリーズ■
・あなたの知らない沖縄がそこにある 絶海の浪漫孤島・大東島 ~1・大東島へ行こう!島の概要と旅の計画編~
・あなたの知らない沖縄へ 絶海の浪漫孤島・大東島への旅 ~Day1・レンタサイクルで周遊する(前編)~
・あなたの知らない沖縄へ 絶海の浪漫孤島・大東島への旅 ~Day1・レンタサイクルで周遊する(後編)~
・あなたの知らない沖縄へ 絶海の浪漫孤島・大東島への旅 ~Day2・南大東島の文化と歴史に触れる周遊の旅~
・あなたの知らない沖縄へ 絶海の浪漫孤島・大東島への旅 ~Day2・南から北へ!二つの大東島を楽しむ~
・あなたの知らない沖縄へ 絶海の浪漫孤島・大東島への旅 ~Day3・北大東島の絶景と文化に触れる旅~
・あなたの知らない沖縄へ 絶海の浪漫孤島・大東島への旅 ~Day3・北大東島の始まりの地と沖縄の果てへ/旅の完結~
【目次】
1.『海軍棒』で朝日を見る ~見事な雲に遮られる~
2.二日目の周遊を考える ~二度寝してグダグダな朝を迎える~
3.島の地質が生み出した池を眺める展望台『大池展望台』
4.空港跡地を有効活用したマニアックな酒工場と博物館
5.昼食の調達 ~島ならではの弁当を購入する~
6.岩と波が絵画的に美しい『塩屋海岸』
7.島の歴史を静かに語る港『西港』
1.『海軍棒』で朝日を見る ~見事な雲に遮られる~
大東島の旅2日目の朝がやってきました。
大東島は、沖縄県の東の果ての島。
東の果てに来たからには、是非やっておきたい事。
それは、何といっても沖縄県で最初の上る朝日を見る事でしょう。
という事で、ママチャリで何十kmと走り回った翌日にも関わらず、朝4時半過ぎには起きて軽く支度をします。
初日もなぜか眠れなかった睡眠不足の状態だったというのに、我ながらよくぞこの時間に起きられたものだ。
そんな事はさておき、早朝から南大東島の東の端っこを目指して、早くも自転車で出発します。
良かった、前日の夕方に電動アシスト付きにしておいて。(前回参照)
これで楽に向かえるというものです。
ホテルを出発して約20分。
『海軍棒』に到着します。
海軍が南大東島の測量をする際に、測量標を建てたのが名称の由来のようです。
駐車場の脇には休憩所もあるのですが…現在はロープで塞がれていました。
仕方ない、では海岸へと下りていく事にしよう。
駐車場から海岸までは、かなりの急勾配な坂道を下っていく事になります。
自転車で降りるのはあまりお勧めしません。
ブレーキの効きが甘かったりすると、そのまま岩や海にダイブする羽目になります。
危険です。
出来れば駐車場に止めてから、徒歩で下っていくようにしましょう。
なかなかの荒波。
豪快に打ち寄せる波は、迫力があって、眺めているだけでも楽しめます。
後は、ここで上る朝日を待つのみ!
…なのですが、海の向こう側の雲行きが怪しい…。
島の周辺は晴れているのに…!
ま、陽が出る頃には、ある程度雲が捌けてくれるでしょう!
…などと淡い期待をするも、そのまま日の出時刻を迎えてしまいます。
結局、見事な雲に遮られた状態での、朝のお迎えとなりました。
まぁ…、これはこれで壮麗だし、良いか。
と、無理やり思う事にしましょう。
2.二日目の周遊を考える ~二度寝してグダグダな朝を迎える~
午前6時半頃。
ホテルに戻ると、急に眠さが襲ってきたので、1時間くらい寝る事にします。
随分間の空いた2度寝…になったな。
7時半過ぎに起きて、朝食をとってから、2日目の周遊ルートを考えて…などと思っていましたが…。
ハッ!と気がついて時計を見ると……。
8時40分!
…寝過ごした…!
もう朝食は間に合わない。
仕方ない、近くのスーパーで購入してから食べる事にしよう。
そう思いながら、簡単に周遊ルートをゆっくりと考えてみる事にします。
9時を回ったところで、部屋を出てホテルをチェックアウトします。
その際、ホテルの方から、朝食来ませんでしたね、と言われてしまう。
スミマセン、2度寝してしまって、ついさっき起きちゃいましてね…。
―あ、やっぱりそうでしたか。電話して起こせば良かったですね。
(うん、そうしてくれると助かった)
まぁ、適当に済ませる事にします。
といったやり取りをして、昼食にお勧めのお店はないか聞いてみる。目の前の『大東そば』はこの時は休業中だったし、他に良いところはないだろうか?
すると、昼食を食べられる場所をいくつか教えてもらい、「後はスーパーで総菜(弁当)を買っていくのも良いですよ」と教えてもらいます。
あ、なるほど、弁当っていう手もあったか。
そして「お寿司を買って海で食べるのも良いですよ」と。
え、それ滅茶苦茶良さそうじゃん!それにしよう!
11時半過ぎくらいから総菜は店に並び始めますが、12時を過ぎるとお仕事中の人たちがどんどん買ってすぐ無くなるので、それまでに買っておくと良いですよ
と、教えてもらいます。
そして、
空港への送迎は15時40分頃に出発するので、それまでにはここに戻ってきてください
との事。
よし、これでこの日の大体の周遊プランが整った。
という事でホテルを出発し、まずは北の方へと向かいます。
と、その前にスーパーで朝食を買っていく事にするか。
ホテルのすぐ近くに『スーパーみなみ』があるので、その何れかで朝食を調達しようと思うも…。
おにぎりはおろか、簡単な総菜が一切見当たらない…!
ホテルの南側にも『JAおきなわ南大東支店』があるので、そこにも行ってみますが…。…やっぱりここにもない!!
朝は総菜が一切並ばないらしい。
パンも美味そうなのがない…。
でもお菓子はそれなりに品数が揃っている。
…となると、これはもうお菓子で済ますしかないな。
というわけで、飲み物と朝食代わりのお菓子を買って、店を出発する事にします。
ん~、朝からいろいろとグダグダだなぁ。
3.島の地質が生み出した池を眺める展望台『大池展望台』
スーパーでお菓子(朝食)を買った後、この日の最初の目的地『大池展望台』に向けて走り出します。
『大池展望台』は、島の中心部に点在する池のすぐ北側に位置する展望台。
島の中央部の範囲に入る場所なので、坂道はほとんどないものの、思ったより距離があります。
小さな島だと侮っていると、すぐに体力が尽きてしまう事になります。
注意しましょう。
スーパーを自転車で出発してから、大体15分~20分ほどで『大池展望台』に到着します。
木造の簡素な展望台ではありますが、そのおかげか、周囲の自然との調和が取れた展望台でもあります。
展望台の上からは、大池やその周辺を取り囲む木々、サトウキビ畑などを一望する事が出来ます。
そして、辺りは「オヒルギ」というマングローブの群落でもあります。
この大池周辺のオヒルギは、外洋(海)から隔離された池の淵に成育している、世界的にも珍しい陸封型のマングローブとして、学術的にも極めて重要な群落として知られています。
その貴重さから、国の天然記念物に指定されている場所でもあります。
…が、如何せん、高さがあまりないので、眺望は微妙なところ。絶景とは言い難い景色ではあるものの、のどかな島の風景はちょっとした安らぎを与えてくれます。
ここから見える池の多くは、初日の前編でも触れた“ドリーネ”と呼ばれる陥没孔に水が溜まって出来たもの。
石灰地質の岩盤に、長年の水の浸食によって空洞ができ、それが崩落する事によって形成されるドリーネ。
見た目に反して、いきなり水深が深い場所もあります。
ここで、先ほど購入したお菓子(朝食)をいただく事にします。
社会人十数年目の男の朝飯じゃあないな。
(しかもこのチョイスは一体…)
とは言え、この緑を眺めながらのお菓子もなかなか悪くないですよ。
展望台の脇には、『東水門』があります。何て事ない水門ではありますが。
大池展望台で一息ついたら、次は南大東島のラム酒工場『㈱グレイスラム』へと向かいます。
4.空港跡地を有効活用したマニアックな酒工場と博物館
旧南大東空港の建物を、そのままラム酒工場に改造した所となっています。
『南大東空港』の文字がそのまま残っているのが良い。
ノスタルジックな感じで。
JTA(JALグループ)の前身である「南西航空」の看板、DHC-6型機の座席表、搭乗旅客待合室のドア(中には入れませんが)など、航空マニアにはたまらない場所となっています。
そして、ここではラム酒の直売も行っている為、ここでお酒を購入していく事も、勿論可能です。
大東島の広大なサトウキビ畑から造られた、大東島名産ラム酒『COR・COR』。
主に2種類が生産されており、両方セットでの販売もあります。
そして、試飲も可能。
気になったら飲んでみましょう。
もちろん、車だろうが自転車だろうが、試飲してしまうと飲酒運転になりますので、運転していない事が前提となります。注意しましょう。
せっかくなので、私もここでセットのラム酒を購入していく事にしました。まだ1本(赤い方)しか飲んでいませんが、スパイシーでスモーキーなお酒という、非常に個性的でクセのある味となっています。
そのままロックで飲むと、パンチのある味に最初は戸惑う事でしょう。
ソーダ水で割ると、割と良い感じになります。 また、ラム酒ケーキまであります。
こちらもラム酒のパンチが効いた一癖あるケーキとなっていますが、非常にしっとりとした濃厚なケーキとなっており、これはこれで実に美味しいものです。
酒好きな方へのお土産に是非購入してみましょう。
『㈱グレイスラム』のすぐ北側には、『島まるごと館』という施設もあります。
主に大東島の成り立ちや自然等に焦点を当てた簡素な博物館となっています。
入館料は200円。
最後に支払う形となっています。
もし時間に余裕があるようでしたら、女館長さんがお茶やお菓子も振舞ってくれます。
そして色々とお話も聞かせてくれますので、興味深く時間を過ごす事が出来るでしょう。
ちょっとした休憩がてらに、この『島まるごと館』を利用するという手も有り…かもしれません。
そして、そうこうしている内に、時間は11時20分を過ぎようとしている頃でした。
そろそろまた中心街に戻って、弁当を調達せねば。
朝食をミスったので、今度こそ失敗は許されない…!
『島まるごと館』を後にして、再度、朝のスーパーへと戻っていきます。
5.昼食の調達 ~島ならではの弁当を購入する~
朝、総菜の一つすらなかった『JAおきなわ南大東支店』に再度顔を出してみると…。
ありました!弁当を始めとする総菜の数々が…!
朝はおにぎりの一つすらなかったのに、並ぶ総菜の数々を見て少し感激していまう。
ゴーヤーチャンプルーやポークと玉子を使った弁当等、沖縄らしい品々の総菜が数種類並びますが…「大東寿司」はないんだろうか?
店員さんに聞いてみたところ、「今日は寿司の入荷はありませんね」との事でした。
残念。
しかし、どの弁当も美味しそうなのは間違いないので、ゴーヤーチャンプルーとから揚げの弁当、それともう一つ、玉子の太巻き寿司を。
…ん?って、これ寿司じゃね~か!
何だ、あるじゃん。
確かに一番欲しかった大東寿司はありませんでしたが、この玉子の太巻き寿司は、『大東まつり寿司』という名称で、これも名物寿司の一つ。
那覇空港でも購入が出来ます。
…でもちょっと量が多かったか?
しかし、まだまだ自転車での周遊は続行する予定なので、これで適度と言えるだろう。
多分。
そして、どうせ食べるなら綺麗な海を見渡しながらゆっくりと食べてみたい!
という事で、このスーパーから最も近い場所にある海岸。
昨夜、若干怖い思いをしながらも澄み渡る天の川を存分に眺めた場所、『塩屋海岸』へと向かいます。
6.岩と波が絵画的に美しい『塩屋海岸』
南大東島の南西部に位置する海岸。
ここには人工のプール、『塩屋プール』もあります。
岩をくり抜いて造った自然のプールで、砂浜のない大東島では、ここで海水浴を楽しむようになっています。
これと似た造りをした人工のプールが、東側の『海軍棒』(上記にて朝日を見損ねた場所)にもあります。
岩だらけの海岸とはいえ、非常に綺麗な海です。 これもまたある種の絵画チックな海。岩肌の見える浅い箇所では、魚たちの姿を見る事も出来ます。
昨夜は辺りが何も見えない真っ暗闇の海岸ではありましたが、昼になるとここまで壮麗な景色を見せるとは…。
海と星、昼も夜も存分に楽しませてくれる名スポットと言えるでしょう。
波音と風が気持ちの良い、安らぎの場所。
外は陽射しが強くて非常に暑いものですが、休憩所の日陰に入ると、風も吹きこんで、かなり暑さが和らぎます。
青い海を眺めながら食べる弁当は格別。
食堂を探して食べるのも良いですが、どこで食べようか迷ったら、弁当という選択肢も十分に有りでしょう。
これでしか味わえない楽しさというのがあります。
塩屋海岸を心行くまで楽しんだ後は、島の西側中央部の『西港』へと向かいます。
7.島の歴史を静かに語る港『西港』
名称そのまま、南大東島の西側に位置する港で、明治33年に、初の開拓者が上陸地点に選んだ場所で、以降、南大東島の主要港として整備されました。
現在もフェリー“だいとう”が接岸する三つの港の内の一つとして、現役で活躍しています。
大東島は、明治に開拓が始まる前、『ボロジノ島』と呼ばれていました。
島を発見したロシア海軍の佐官であった、ポナフィディンの指揮する艦船「ボロジノ号」にちなんで命名され、19世紀前半には正式に英国海軍の海図や、欧米の地図に登場していました。
そして、1900年に大東諸島を日本が領有する事を諸外国に宣言し、沖縄県に編入され、玉置半右衛門を筆頭に、大東島の開拓が進んでいく事となります。
『ボロジノパーク』は、そのロシア名であった大東島の前の名前を残す場所の一つとなっているのです。
台風等の悪天候時、船舶を陸地に引き揚げる為の施設の原動力室として使われていました。
島の珊瑚石灰岩を利用して造られており、淡い灰色の岩肌が、まるで遺跡のような佇まいを見せています。
窓枠部から見る海との組み合わせがどこか神秘的です。
ロシア名であった名残と、島の開拓の主要港として使われていた名残。
何て事なさそうな港から、島の歴史を垣間見る事が出来る、南大東島の隠れた名スポットの一つと言えるでしょう。
ちなみに、西港のすぐ東側には、沖縄本島では見られないお地蔵さんが祀られています。
(最近は、本島の北中城村にも『幸せ地蔵(幸福地蔵)』があるようですが)
沖縄では珍しいお地蔵さん。
旅の安全を祈願していくのも良いかもしれません。
南大東島の周遊はもう少し続きますが、続きは次回にまとめる事にします。
まるでプールのような青く澄んだ海の『亀池港』、そしていよいよ北大東島へと場所を移していきます。
大東島の動画も作成しています。是非合わせてお楽しみください!
リンク
■『ホテルよしざと』
■『南大東島ホームページ』
■『南大東村観光協会』
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