国内最遠の楽園、小笠原諸島への旅 ~5. 母島弾丸ツアー ―4時間で母島最南端と島北部を往復する・その1― (4日目)~

 

 

小笠原諸島への旅シリーズ第5弾は、父島の南に位置する有人島、母島での様子についてまとめます。
父島より日帰りでの行動でしたので、かなりカツカツの弾丸スケジュール的な内容となりますが、母島に興味がある方に少しでも参考になると幸いです。

 

■小笠原諸島への旅シリーズ■

『国内最遠の楽園、小笠原諸島への旅 ~1.小笠原への旅のススメ・ガイド~』
『国内最遠の楽園、小笠原諸島への旅 ~2. 旅の準備/東京⇒父島への船旅(1~2日目)~』
『国内最遠の楽園、小笠原諸島への旅 ~3. 父島半日バスツアー+諸々(2日目)~』
『国内最遠の楽園、小笠原諸島への旅 ~4. ドルフィンスイム ―イルカと泳ぐ―(3日目)~』
『国内最遠の楽園、小笠原諸島への旅 ~5. 母島弾丸ツアー ―4時間で母島最南端と島北部を往復する・その1― (4日目)~』
『国内最遠の楽園、小笠原諸島への旅 ~6. 母島弾丸ツアー ―4時間で母島最南端と島北部を往復する・その2― (4日目)~』
『国内最遠の楽園、小笠原諸島への旅 ~7. 父島最後の山と海へ、出航前のカフェ巡り (5日目)~ 』
『国内最遠の楽園、小笠原諸島への旅 ~8. 盛大に見送られる出航、感動のフィナーレ(5、6日目)~』

 

 

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1.母島の簡単な概要、弾丸ツアー画策編

 

父島滞在3日目。
初日、2日目とおがまるパックのオプションプランである“半日バスツアー”と“ドルフィンスイム”を体験してきましたが、この日は1日フリーの状態となりました。
そこで、どうせなら母島にも行ってみたいと思い、簡単な日帰りプランを考えてみました。
本当なら母島で1泊もしてみたかったのですが、もうすでに『INNこうもり亭』の3泊分は支払い済みであり、父島と母島に分けて宿泊しようとすると、どうしても費用が割高となってしまう為、今回は見送ることに。
(次に小笠原諸島へ行ける機会がいつ来るか分かりませんが…)

 

 

母島は、父島の南へ約50kmほど離れた場所に位置しており、2つしかない小笠原諸島の有人島の一つとなっています。
(自衛隊基地のある硫黄島を除く)
母島へは、父島より「ははじま丸」にて移動するしか方法がなく、東京等からの直行便はありません。
父島からの船での移動時間は、およそ2時間。

母島にはバスやタクシーといった交通機関がありません。
島内を広範囲に、自由に移動したいなら、レンタカーやレンタルバイク、レンタサイクルを利用するのが良いでしょう。

また、父島と同様にキャンプも禁止されています。
地球上でこの母島にしか生息しないメグロを始め、父島同様に、この小笠原諸島でしかお目に掛かれない動植物も多数存在します。
貴重な環境保護もあっての事です。
身勝手な行動は慎みましょう。

 

さて、そんな母島のどこを日中の限られた時間でまわっていくか……。
母島への到着時間は、午前9時50分頃。
母島を出航する時間は、午後2時。
わずか4時間ほどの滞在時間となります。

前日まで非常に迷ったものでしたが、私が是非とも行ってみたかった場所が2つに絞られました。

まずは、母島最南端の「小富士登頂証明書」をどうしても入手してみたかったので、まずは母島最南端の小富士のある『南崎』を目指します。
そして、次に興味を惹かれたのが、まるで遺跡のような佇まいとなっている、母島の北側に位置する『北村小学校跡』。
南北に長い母島の最南端と北部。
しかも、小富士へは、最寄の駐車場から徒歩で片道1時間ほど掛かるとの情報も。
移動だけでかなりのものと予想されますが、ここはレンタルバイクで何とか対処してみようと考える。

また、時間が残っているなら、道中にある『砲台跡地』にも寄ってみたい。

 

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こうして母島の日帰りプランが整いました。

母島到着後、まずはレンタルバイクを借りて『都道最南端』を目指し、母島最南端の『南崎』の小富士まで徒歩移動をこなします。(予想時間:往復2時間)
そして、一気にバイクで母島北部まで駆け抜け、『北村小学校跡地』を目指します。(予想時間:往復1.5時間)
時間が余れば、沖港への帰りのついでに『砲台跡地』を見に行けないかと画策。
そして沖港へ戻り、レンタルバイクを返却して父島へと移動する…。

おそらく……いや、計画の段階で「これはけっこうな弾丸ツアーになるぞ」と思ったものでしたが、体力にはそれなりに自信を持っていますので、何とかいけるだろうと計画を実行に移すことに。
果たしてうまくいくかな……?

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2.ははじま丸に揺られて母島へ

 

9月4日。
この日は「ははじま丸」の07:30の出港時間に間に合わせる為、早めに起きて仕度を始めます。
いつもでしたら、朝食は7時からでしたが、母島行きの私に合わせて、6時半に用意していただきました。
こういった融通を効かせてくれるのは、非常にありがたい。
準備を整え、7時頃にオーナーに港まで送っていただきます。

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父島二見港。
もうすでにははじま丸乗船券を求めて、多くの方が窓口に並んでいました。
けっこういるもんだな。母島に向かう方たちが。

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窓口の向かい側に「乗客人名標」という用紙がありますので、必要事項を記入し、窓口にて乗船券を購入します。
ちなみに、燃料油価格の変動の影響により、運賃は月によって変動しますので、注意しましょう。
基本運賃は2等の場合で、片道¥3,880程度。それに燃料油の調整金が加算されます。

また、旅行者はははじま丸乗船券の予約購入ができません。
当日に窓口で購入するしか方法はありませんので、注意しましょう。

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切符を購入し、靴底を綺麗にしてから、ははじま丸へと乗り込みます。

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狙うは客室よりもデッキ。
船酔いしにくくなるという利点もありますが、やはり航海中の景色をめいっぱい楽しみたという思いが強いので。

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そして、いよいよ母島に向けて船が二見港を出港します。

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母島まで約2時間の航海。
やはり日差しが強いですが、もうすでにガッツリ日焼けした後だったので、開き直ってデッキからの雄大な海原を惜しみなく楽しむ事にします。

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台風が本土へと上陸しようとしている中での航海だったので、波がやや高め。
3階デッキまで波しぶきがさく裂するほどの勢い。

とはいえ、こんな時は吹きあがる波しぶきに陽の光が差して虹が出来る事もあります。
大変な中でも楽しむ方法はいくらでもあるもんだ。

 

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父島を出港してから1時間半が経過した頃には、母島がもう目の前に見えるまでに近づいてきています。
間もなく到着すると思うと、思わず興奮してくる事でしょう。

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海上ではカツオドリたちがまるで歓迎してくれてるかのように船の周囲を軽快に飛び回る。

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9時50分頃、船は母島の沖港のある湾内へと入り込み、いよいよ着岸します。

 

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ついに母島への上陸を果たします。

念願だった遥かな小笠原諸島。
母島への上陸も叶い、気分はあまりにも高揚していたものです。

が、滞在時間はたったの4時間。
目的を果たすべく、まずは船客待合所を兼ねた『小笠原母島観光協会』にて情報を仕入れます。

一つは母島最南端の到達証明書とも言える「小富士登頂記念証」の入手。
そして、肝心の移動手段となるレンタルバイクを借りる方法について。

特に、「小富士登頂記念証」は登頂前に観光協会にて申し込みをしておかないと、入手が不可能となってしまうので、興味ある方は注意しましょう。

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3.観光協会にて情報収集

 

 3-1.レンタルバイクを借りる

 

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まずは、母島移動の要となるバイクがない事には、今回の母島弾丸ツアーの計画が破綻してしまうので、レンタルバイクの情報を聞いてみる事に。

すると、港のすぐ西側に位置する「アンナビーチ母島ユースホテル」でレンタルバイクがあるとの事でしたので、すぐに借りに行く事に。
予約は受け付けておらず、先着順であったので、早く押さえておかなければ。

という事で、ユースホテルへと向かいます。

 

 

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観光協会からユースホテルまでは、徒歩で5分程度。
割と近い場所に位置しています。

 

 

また、観光協会の南西側には「ダイブリゾート母島」があり、こちらでもバイクをレンタルする事が出来るようです。
距離はユースホテルと似たようなもの。
日帰りでバイクを借りるなら、この2ヶ所のどちらかが好都合と言えるでしょう。

ホテルの前に着いた頃、ちょうどスタッフ(オーナー?)の方が戻ってきたので、バイクを借りたい旨を伝え、用意してもらいます。
ちなみに、レンタル料は、8時間で2,500円、24時間で3,000円、48時間で5,000円となっている模様。
4時間後には帰っちゃうので、当然8時間で借りる手続きをします。

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って、そういえば私、原チャリに乗るのって車の教習所以来初めてだな
しかもこの原チャリ、スピードメーターが壊れてて速度が一切分からない状態となってました。

交通量がほとんどない母島だったので、こんな状態でもどうにかなりはしますがね。
うん。

 

 3-2.小富士登頂証明書発行の手続きをする

 

とりあえずレンタルバイクは確保。
再度、観光協会に戻り、次に「小富士登頂記念証」の入手方法について聞いてみる事に。

すると、ラミネートと郵送のどちらにするかを聞いてきます。
ラミネートだと当日中の発行が可能で、郵送だと自宅に証明書が送られる事になるので、日数が少し掛かります。
内容はどちらも同じなので、好きな方を選ぶと良いでしょう。
どちらも1枚300円で発行してもらえます。

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私の場合、せっかくなのでラミネート版と郵送版の2つ申し込む事に。
すると、南崎・小富士の観光案内と白い紙、クレパス(クレヨン?)が入った袋が渡されます。

小富士の頂上部に、それを表す刻印のある杭が立っているので、そこでこの紙とクレパスを使って擦り絵(フロッタージュ)を作成します。
これが登頂の証明となるので、観光協会に戻ってきたら、この擦り絵を見せる事で証明書が発行されるようになっています。

なかなか面白い。

バイクも入手し、登頂証明書の手続きも済んだところで、いよいよ本格的に母島での弾丸ツアーを実行に移します。

まずは、母島最南端の南崎・小富士を目指します。

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4.母島最南端の南崎・小富士を目指す

 

 4-1.都道最南端まで原チャリで移動する

 

南崎・小富士への遊歩道のある「都道最南端」は、観光協会から南東側へ約4kmほど進んだ場所にあります。
徒歩だと小一時間は掛かる距離ですが、原チャリなら15分程度で行ける距離です。

時間が限られているので、寄り道もせずに都道最南端を目指して道を進んでいきます。

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しかし、原チャリで行く島の道ってのも、なかなか爽快なもの。

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暫く道なりに進んでいくと、「道路終点」という標識が現れ、駐車場に辿り着きます。
ここが「都道最南端」の場所となります。

 

 

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綺麗に舗装された道の最南端部。
“都道”という名称から、すっかりここが東京都である事を忘れていた事に気付かされます。

ここからは徒歩でしか進む事は出来ません。

南崎までの道のりはおよそ2.4km。
小富士頂上までの道のりはおよそ2.6km。

この時点での時刻は10時半を回ろうかという頃。
果たしてどれくらいの時間で往復できるか。

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早速遊歩道に入っていく事に。

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 4-2.南崎までの道中

 

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入口の階段を下ると、すぐに写真のようなマットとその隣にある木箱が見えてきます。

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小笠原諸島は、ここにしかいない固有種が多く、外来種を持ち込ませない為の処置が欠かせません。
貴重な自然環境を保護する為、ここで楽しませてもらういじょうは全面的に協力する姿勢を持つように心掛けましょう。

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マットで靴底を清掃し、木箱の中にあるスプレーを靴底に吹き付けます。

ちなみに、スプレーの中身は“”となっています。
当然、非常に酸っぱい匂いを放ちますので、靴底以外には吹き付けないように注意しましょう。

服に着いたら割と大変な目にあいます。

 

そして、遊歩道をどんどん進めていきます。

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南崎までの道中は、さほどアップダウンが激しくない為、そこまで身構える必要はありませんが、2km以上もの道のりを暑い中進んでいく事になります。
動きやすい格好で臨む事、そして水分補給を欠かさないように注意しましょう。

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道中、まるでクレーターのような半円状の窪みのある地形が見えてきますが、ここが大体中間地点となります。
ここは「すり鉢」と呼ばれる場所であり、かつてはここで子供たちがオガサワラビロウの葉を敷いて滑って遊んでいたそうな。

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生い茂るタコノキの群生、まるでジャングルのような道中。
ここでしか味わえない特有の道中を楽しみながら、どんどん進んでいきます。

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暫く進んでいくと、南崎と小富士の分岐点に差し掛かります。

母島最南端の小富士は、道なりに進んでいきますが、ここまで来たら南崎がどういった場所なのかも知りたい。
よって、まず南崎に寄り道してみる事に。

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 4-3.南崎にて

 

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階段を下り、やや綺麗目に舗装された遊歩道を進んでいくと、森が開け、ベンチのある広場が見えてきます。

 

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さらに脇の方を進んでいけば、目の前には青く輝く海が広がります。

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心安らぐような綺麗な海。

 

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大き目の砂利で占める浜でなければ言う事なしに最高でしたが、それでも十分すぎるほどに美しい。

ここでほんの少しひと息をついたら、さきほどの分岐点まで戻り、小富士へと向かいます。

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 4-4.小富士までの道中

 

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小富士は標高86mと、大した高さではないものの、麓から一気に頂上へと登り詰めるような階段が連続しますので、思った以上に大変です。

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写真では伝わりにくいかもしれませんが、このような段差の階段がクネクネと続いていきます。

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そして、頂上手前の最後の難関。
鉄製の梯子上り。

連続する階段で体力を使った後でこれですので、手足を滑らせて落ちないように十分注意しましょう。

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梯子を上り、ちょっとした石段を上がっていくと、ついに天辺の方に辿り着きます。

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 4-5.小富士山頂にて

 

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この時点で、すでに十分目を奪われる光景。

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小富士山頂は、もう少し奥へと進んだ方に位置しています。

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もはや言葉にできないほどの壮麗な光景。

息を呑む素晴らしい景色が広がります。

ここまで来た甲斐があった。
心からそう思う事でしょう。

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できれば山頂から綺麗に360度のパノラマ写真を撮ってみたかったんですが、私のフォトショップ技術では、これが限界。
こういう時こそ、RICOH THETA (リコー シータ)が欲しいと思ったもんだ。

しかし、どうにかして自分のものにしておきたいと思うような美しい光景。
もう暫くここでこの風景にどっぷり嵌まっておきたいと思ったものですが、次の予定も棄て難いので、少しひと息ついてから戻る事にします。

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 4-6.登頂証明書フロッタージュを作る

 

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そして、忘れてはならないのが、「小富士登頂証明」のフロッタージュ(擦り絵)
ベンチの近くに、登頂証明の杭がありますので、ここで観光協会でもらった白い紙に、クレパスで擦ってフロッタージュを作ります。

風で飛ばされないように注意しながら作成しましょう。

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木の杭なので、いまいち綺麗に仕上がりませんでしたが、こうやって証明となるものを完成させるのは面白いものです。
途中で無くしたりしないようにしっかりと注意しながら来た道をひたすら戻っていきます。

 

 

そして、ちょうど昼12時になろうかという頃、「都道最南端」へと無事に戻ってきました。
ここまでの所要時間、およそ1時間半。

いや、我ながら随分と早いペースで往復できたもんだ。

あまり休む間もなく、次なる目的地、「北村小学校跡」へと向かいます。
非常に長くなるので、続きは次回にまとめる事にします。

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リンク

 

『小笠原海運』
『ははじま丸 時刻表』

『小笠原母島観光協会 母島』
『母島 小笠原村公式サイト』

母島レンタカー&バイク情報

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