佐田岬 ~四国最西端のとんがりの先っちょへ~
佐田岬(さだみさき)。
愛媛県西側の、九州に向けて鋭く飛び出した半島の先端部に位置する、四国の最西端の岬です。
ちなみに、この細長い半島は「佐田岬半島」と言います。まんまなネーミング。リアス海岸が40kmほども続く特徴ある半島で、“日本一細長い半島”とも言われています。
(余談ですが、「リアス式海岸」という表記は誤訳(?)で、近年では「リアス海岸」で定着しています)
九州、本土最南端の「佐多岬(さたみさき)」と名称が似ている為、混同されがちなこの佐田岬ですが、似ているのは名称だけでなく、ちょっとしたアクセスの困難さ加減まで似ています。
道中は高低差のある山道の連続、車1台しか通れない狭い道が複数個所もある、最寄の駐車場から遊歩道を20~30分ほど歩かないと先端部に辿り着けないなど、共通点がいくつかある点で、まるで兄弟(姉妹)的近似性すら感じさせる岬です。
佐田岬先端部の佐田岬灯台へは、最寄の駐車場から遊歩道を20~30分程度歩かなくてはなりません。
道中は思った以上に高低差の激しい坂道が連続している為、動きやすい服装である事が望まれます。夏場はタオルや着替え、水分補給の準備も推奨されます。
写真のように、きつい高低差の坂道が続きます。
足を挫いたりしないよう、焦らず、足元にも注意しながら進んでいきましょう。
入り口では、土産を売るおばちゃん達が。
これから灯台に向かう客にも容赦なく声を掛けてきます。私は「帰りに見ます」と言ってそこを抜けていくことに。
佐田岬灯台への道のりは、まず比較的平坦な数分ほど歩いた後、急な下り坂に差し掛かります。 一旦、浜辺付近まで下った後、今度は上り坂を進んでいく事になります。
アップダウンが激しいので、焦らずじっくりと進めていきましょう。 体力を消耗しますが、道中はちょっとした森林浴を楽しみながら進む事ができますので、苦しい事ばかりでもありません。
スタート地点から1kmほどの場所まで来ると、分岐路と写真のような案内板が見えてきます。
分岐路を左に進むと、椿山展望台に寄り道する事ができ、右に進むと、灯台への近道となります。
特に体力に問題がなければ、せっかくなので、展望台にも寄ってみましょう。
またちょっとした上り坂が続きますが。
この脇にある階段を上ると、展望台へと辿り着きます。
苦労して上っただけあって、ここからの眺めはなかなかなに格別です。
この日は黄砂も飛んでいた事もあって、せっかく晴れているのに、あまり空気は澄んでいませんでした。
佐賀関(さがのせき)半島や国東(くにさき)半島がもっと綺麗に見えていれば、言う事なしだったのですが……これだけでも素晴らしい事に変わりはないので良しとしよう。
展望台には、ハートを模したオブジェが。
デートスポットの一つでもあるのか、ここは?
カップルが1組ここに来た所で、お一人様な私はさっさとここを去る事に。
さらに道を進んでいくと、いよいよ佐田岬の先端部である佐田岬灯台が近づいてきます。
この佐田岬灯台は、1918年(大正7年)4月に点灯され、35km先まで照らす光力を備えている、約14km先の対岸の佐賀関(さがのせき)まで十分に光が届くようになっています。
この灯台直前の階段もまた辛い所ですが、佐田岬先端部まであと一息。
目の前には、潮流の速さが際立つ豊予海峡(ほうよかいきょう、別名:速吸瀬戸(はやすいのせと))と九州の佐賀関の光景が広がります。
こうして見ると、本当に九州と近い。
恐らく、多くの人が「なぜこの間を橋で繋いだりトンネルを通したりしないのか?」と疑問に思った事があるかもしれませんが、財政事情、地質、需要の見込みなど、様々な理由で計画がストップしてしまっている状況です。技術的には可能との事なので、将来、もしかしたら鉄道か何かが通るのかもしれませんが。
灯台の北側には、見籠島(みかごじま)という小さな島があります。
佐田岬に隣接する島という事もあって、“四国最西島”という言葉が売りでもあります。
この見籠島と灯台の間には、蓄養池というプール状の漁業施設が建設されているので、陸続きとなっています。
この蓄養池、かつては漁師が獲ってきたイセエビ、アワビ、サザエなどをここで蓄養し、市場への出時期を調節したり、稚貝を育成したりと、漁業運営を安定させる為の施設となっていましたが、2010年を最後に、現在は使われていない為、跡地となっています。
先端部まで進んでいくと、「永遠の灯(とわのともしび)」という、灯台のシルエットをイメージしたモニュメントが建てられています。
このモニュメントの隙間からのぞく佐田岬灯台もまた粋な光景です。
そして、この見籠島には「洞窟式砲台跡」という、岩盤をくりぬいた素掘りの洞窟があります。
洞窟は内部で2又に分かれており、1箇所は展望台、もう1箇所には、砲台のレプリカが展示されています。
「三八式十二糎榴弾砲(さんはちしきじゅうにせんちりゅうだんほう)」と呼ばれる、日露戦争時に発注された大砲ですが、ほとんど使われる事なく終戦を迎えたようです。
四国最西端の佐田岬。
ここへのアクセスは思ったより大変ではありますが、雄大な光景と歴史の一部を知る事ができる、非常に有意義な場所となっています。
灯台と豊予海峡を見た時、“日本一細長い半島”の先端部に来た、という達成感も湧いてくる事でしょう。
間違いなく愛媛県を代表する観光スポットの一つに挙げられるであろう景勝地。
ちょっとした運動も兼ねて、是非ともこの光景を目にしていただきたいものです。
◆アクセス◆
この佐田岬へは、最寄りまでの公共交通機関がない為、レンタカー等車を利用しての移動が手堅いです。
松山市方面からは、国道378号線(「夕やけこやけライン」)を西側に進んでいき、八幡浜(やわたはま)市にて国道197号線(「佐田岬メロディーライン」)に入り、ひたすら西に向けて進んでいきます。
松山市内から、およそ2時間半ほどで到着できます。
どうしてもバスで移動するしか方法がない場合、伊予鉄松山市駅より「八幡浜・三崎特急線」の三崎港口行きバスで移動します。(JR八幡浜駅前から乗車する事も可能)
終点「三崎口」、または終点一つ前の「三崎」まで移動します。
運賃は片道¥2,510、所要時間は2時間45分程度。
八幡浜駅からの場合、運賃は片道¥1,290、所要時間は1時間5分程度。
ただし、三崎から佐田岬入り口までは、まだ14km以上も離れている為、タクシーを利用するか、折り畳み自転車を持参するのが現実的となります。
リンク
■『佐田岬の休日』
■『愛媛県伊方町観光サイト/さだみさきナビ』
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