ラピュタの世界と評される島 和歌山県―友ヶ島―
和歌山県、沖ノ島。
「友ヶ島(ともがしま)」という通称が一般的となっていますが、キャンプや釣りなどで人気の島となっており、最近ではポケモンGOのスポットが多数ある事でも知られるようになっています。
そして、島内で何よりも目を惹かれるのは、まるで冒険活劇の世界に入り込んだかのような気分にさせてくれる、島内のいたる場所に点在する廃墟郡。
廃墟の多くが非常に良好な状態で残されており、まるで島の自然に溶け込んでしまったかのような廃墟の光景を、あの宮崎駿作品の“ラピュタ”のようだと評する声もあります。
■『友ヶ島への旅 ~南海電鉄と船でアクセスする~』
友ヶ島の概要
友ヶ島は、和歌山市と淡路島間の紀淡海峡(友ヶ島水道)のほぼ中間に位置する島。
大阪湾を塞ぐように浮かんでいる事から、湾内への敵艦隊侵入を防ぐ為、明治時代に旧日本軍が沖ノ島島内と、隣接する虎島の5箇所に砲台や防備衛所を建造。第二次世界大戦後は友ヶ島全体が瀬戸内海国立公園に指定されました。
終戦直後に爆破処理された第2砲台跡と、撤去された各大砲以外の多くの施設がかなり良好な状態で現在も残っており、70年を超える年月をかけて徐々に風化していき、この友ヶ島独特の自然と調和する廃墟群を形成しています。
ちなみに、「友ヶ島」は通称の呼び名となっており、正式な島名ではありません。
地ノ島、神島、沖ノ島、虎島の5つの無人島群から形成されており、これらをまとめて「友ヶ島」と総称します。
現在、廃墟が点在する島は「沖ノ島」であり、主に船が発着する島でもある事から、一般的にはこの沖ノ島の事を「友ヶ島」と呼称しています。
よって、今回主に取り上げる内容は沖ノ島内でのものとなります。
友ヶ島は周囲8.1km程度と小さな島ではありますが、小高い山が大部分を占めており(最高標高:119.71m)、隅々まで歩き回ろうと思うと、思いの外に苦労する事となります。
高低差がかなりある箇所も多く、動きやすい格好で訪れる事、体調や体力を十分に整えておく事が推奨されます。
少なくともハイヒールやサンダルはやめておきましょう。
また、島内は無人島であり、売店はおろか自動販売機すらありませんので、予め飲食物の準備をしておく事を強くお奨めします。
それらに注意し、無理のないペースでの移動を心掛ければ、友ヶ島の廃墟群や豊かな自然を十二分に楽しむことができます。
島の規模とは裏腹に、見所は実に沢山あります。
島内の見所マップについては、『友ヶ島汽船株式会社』の詳細地図を参照するのが良いでしょう。
見所の多くは島の西側に集中しています。
散策する時間があまりないようであれば、西側を重点的に回ると良いでしょう。
魅了する廃墟群を散策する
特に第3砲台跡や弾薬支庫跡では、この島が「ラピュタの島」と呼ばれる所以となった廃墟群が並んでいます。
木々のトンネルに埋もれるように建ち並ぶれんが造りの廃墟は、まさしく映画やアニメ等に出てきそうな絵になる光景。
弾薬支庫跡は内部に入る事も可能。ただし、照明等は一切ないので、懐中電灯があると良いでしょう。
ちょっとした不気味さと探究心を煽られるようなこの光景は実に面白いもの。
島の南西部には、潜水艦等の侵入を察知する為に造られた旧海軍聴音所跡と呼ばれる場所があります。
ここでは廃墟の建屋の内部もゆっくりと観察する事ができ、まさに廃墟マニア垂涎の地となっています。
夢のような光景です。
また、島の西側には、爆破処理された為に崩れてはいるものの、それがかえって迫力を増す事となっている第2砲台跡もあります。
軍艦島でも見られるようなダイナミックな崩れっぷりです。
そして、東の方に外れた場所には第4砲台跡も。
周囲が山に囲まれている為に寂しげな場所となってはいますが、こちらも第3砲台跡で見られるような廃墟を見ることができます。
より自然に埋もれたような隠れ家チックな光景が面白いものです。
小さな島から想像のつかない大自然を堪能する
島内は山が大半を占めており、天気が良い日にはたっぷりと森林浴を楽しみながら散策する事もできます。
道中、運が良ければリスや鹿、孔雀などの動物たちを見ることも可能。
しかし、みんな基本的に臆病でこちらの姿を見たとたんに逃げ出しますので刺激を与えないように注意しましょう。また、中にはマムシもいるので、むやみに茂み内には立ち入らないように。
また、第3砲台跡付近のタカノス山展望台からは四国や六甲、淡路島を見渡す事ができるスポットがあります。
周囲8km程度の島から見たとは思えないような絶景が広がります。
島の西部では明治5年(1872年)に日本で8番目に建造された友ヶ島灯台を目にする事ができます。
洋風建築の灯台で、廃墟が多い友ヶ島と言えども、この灯台ばかりは現役稼働中。
さらに灯台近くの島の西端側には、日本の標準時子午(しご)線が走る最南端のスポットまであります。
また、島の北東部には虎島が隣接しており、ここまでの移動はやや大変ではありますが、この虎島にも渡る事が可能です。
ここにはかつて通路が敷かれていましたが、現在は崩落しており、引き潮時のみ瓦礫の上を進んで虎島に渡る事が可能となります。
しかし、爆破解体したのか?と思ってしまうほどの崩れっぷりです。
この虎島にも観念窟、序品窟、堡塁跡、石切り場跡、そしてコダイアマモの化石など、しっかりと見所が存在します。
ただし、ほとんど人が通らない為に山道は非常に荒れ果てており、さらに満潮になると虎島から戻れなくなるという危険性があります。
干潮時であっても瓦礫から足を踏み外して海に転落する危険性も十分にありますので、虎島に行く際には自身の体力や体調、そして潮の状況などに細心の注意を払うようにしましょう。
私は虎島に渡りはしたものの、茂みだらけの路を見てそこから先に進むのを断念してしまいました。
このように、廃墟群以外にも実に注目すべき点が盛り沢山の島となっており、訪れる人々を魅了します。
近畿圏内であれば、日帰りで訪れる事も可能。
この友ヶ島へは和歌山市の加太港より船で移動する必要がありますが、詳しいアクセス方法については次回にまとめようと思います。
せっかくだからこの動画も紹介するぜ
ちなみにこの友ヶ島ですが、ゲーム好きの間では有名な『デスクリムゾン』というゲームのオープニングの撮影地でもあります。
いわゆる“クソゲー”の重鎮的存在として知られる同ゲームのオープニング映像をYOUTUBEで見ることができますので、興味ある方はご覧になってみてください。
結構すごいです。脱力系として。
扉が赤くないのは散々突っ込まれている事なので伏せておきますが、無論、実際に友ヶ島の廃墟にも赤い扉はありません。あしからず。
ついでにコッチも紹介しておきます。
ゲームを全くやらない方でも十分楽しめる内容ではないかと。
※補足※
「クソゲーオブザイヤー」とは、巨大掲示板「2ちゃんねる」のゲーム系板で毎年決められている、その年でいちばんクソだったゲームを決める祭典の事。
内容が純粋につまらない、ゲームの進行に支障をきたす致命的なバグに嵌りやすい、操作性やシステムなどのゲーム環境が劣悪など、「クソ」とされる理由は様々です。
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