日本国内の不思議な風景・珍景 ~全国各地の隠れたスポットセレクション~
2019年 11月04日 改訂
国内には数知れない観光地がありますが、今回はその中でもちょっと不思議な変わった風景のある場所をまとめてみようと思います。
たまには一味違った風景を見てみたいという方、ちょっとだけ不思議な気分に浸ってみたいという方に参考になっていただけると幸いです。
【目次】
『長部田海床路(ながべたかいしょうろ)』
『木更津市の江川、久津間、金田海岸』 ※
『首都圏外郭放水路』
『オトンルイ風力発電所』
『鍋ヶ滝』
『オホーツク海の流氷』
『恐山/宇曽利湖』
『階段国道』
『崖の上の小便小僧』
『伊根の舟屋』
『二階建てトンネル』
※現在撤去されています
『長部田海床路(ながべたかいしょうろ)』
海の向こうへと続く路と電柱。それが満潮時になると路が沈み、電柱だけが海に立ち並ぶ不思議な光景を目にする事ができます。
熊本県宇土市住吉町の長部田海床路。この地域は遠浅の海となっており、船を岸に着ける事ができない為、このように干潟の上に道路を通しましたが、干満の差が大きく、満ち潮時に道路が水没してしまい、このように電柱だけが取り残されているように見えるのです。
霞んでいない晴れた日には、海の向こう側に長崎県の普賢岳を見ることができ、夕暮れ時には幻想性を一層引き立ててくれます。
ちなみにここ、大分むぎ焼酎 二階堂のCMでも話題になった場所でもあります。
『木更津市の江川、久津間、金田海岸』 ※現在撤去
千葉県木更津市にも似たような光景を見ることができる場所があります。
こちらは「長部田海床路」とは事情が違っており、密猟者を取り締まる監視所に電気を送る為に、このように電柱を立てているのです。
(この一帯は潮干狩りの名所であり、アサリを狙った密猟者が出没する)
ただ、最近は暗視スコープによる監視をしているそうですが。
こちらは海に道路を通してはいませんが、特に江川海岸ですと海の向こう側に製鉄工場を望むことができ、満ち潮時にはまるで退廃した未来都市のごとき光景が広がります。
そしてここ、ASKAのシングル曲『心に花の咲く方へ』のMVのロケ地にもなっています。曲の幻想性とマッチした素晴らしい作品に仕上がっています。
2019年10月に発生した台風15号の影響、電柱の老朽化もあり、現在は撤去されてしまいました。
『首都圏外郭放水路』
「地下神殿のよう」とよく評される、埼玉県の世界最大級の地下建造物。
利根川、荒川、江戸川の大河川に囲まれた中川・綾瀬川流域は昔から大雨時の洪水・浸水被害に悩まされている地域でした。
そこで5つの河川の水を地下50m、全長6.3kmもの長さのトンネルに通し、江戸川に流すという役割をこの施設が果たすことによって、大雨時の被害を大幅に軽減させているのです。
この首都圏外郭放水路は一般の方でも見学が可能ですが、その為には予約が必須。しかし、その予約を取るのが思いの外に困難でもあります。
■『首都圏外郭放水路 ~浸水被害から守る大規模な地下神殿~』
『オトンルイ風力発電所』
風力発電のタービン(風車)は全国各地に多数存在していますが、このように一直線に並んでいるのは非常に珍しいです。
北海道幌延町の天塩川河口北側に位置し、オロロンライン(県道106号)の脇に並ぶこの風力発電。28基のタービンが3.1kmもの距離に渡って建設されており、この周辺には高い山もない為、かなり遠くからでもこの光景を目にする事ができます。
晴れわたっていれば、反対の海側に利尻島の利尻山も一望でき、このオロロンラインを通る人々を圧倒させます。
ただ、運転中の方はあまり気を取られすぎて事故を起こさないように注意。
■『幌延町・オトンルイ風力発電所 ~風車が一直線に並ぶ圧巻の光景~』
『鍋ヶ滝』
滝の名所は数あれど、滝の裏側に回れるのは数箇所しかありません。これらは「裏見の滝」とも呼ばれ、中でも熊本県小国町の「鍋ヶ滝」の壮麗さはトップクラスです。
その昔、阿蘇カルデラをつくった巨大噴火による火砕流がこの周辺にも流れ込み、柔らかい層の上側に固い層をつくりました。その後、長い年月をかけて柔らかい層を水が侵食していき、現在の鍋ヶ滝を形成するに至ります。
滝の裏側は10m以上も浸食で削られているために意外と広く、ちょっとした水の洞窟に入り込んだかのような気分に陥ります。
『オホーツク海の流氷』
果てしない大海原が白銀の世界へと姿を変える、国内では厳冬の時期にオホーツク海でのみ見ることができる心に残る景色。
ロシアのアムール川から流れ込んでくる水によってオホーツク海の表層が塩分濃度の低い層で覆われ、それがシベリアから吹き込む厳しい寒気で氷結する事によって、流氷が出来あがるのです(塩分濃度が高いと凍りにくい)。
網走市や紋別市から出ている砕氷船に乗って流氷の海を進んでいく事もできます。防寒対策はぬかりのないように。
この流氷は、冬季であればいつでも見られるわけではなく、ちょっとした運も絡んできます。
夜の星空と流氷の光景もまた何とも言えない不思議な気持ちにさせてくれます。
『恐山/宇曽利湖』
山中の湖であるにも関わらず、南国の海顔負けの澄んだ青さを誇る恐山の宇曽利山湖。
恐山は火山でもあり、火山性ガスが湖に溶け込んだ高い酸性値の水となっている為、生物の育成に適していないのでここまで澄んでいるのです。
恐山菩提寺(ぼだいじ)周辺も火山性ガスの硫黄臭が漂っており、いくら湖が綺麗だからと言っても心休まる場所とは言い難いかもしれません。むしろあまり長居しすぎると、人によっては火山性ガスの影響で頭痛や倦怠感を発祥させてしまう可能性もあります。(霊的現象ではありません)
とはいえ、北岸の岩だらけの殺風景な場所とのギャップもあり、この湖の青さと山々の不思議な風景は一見の価値ありです。
『階段国道』
一見するとただの階段なんですが、その脇には「国道339号線」の標識が。階段なのにれっきとした国道なのです。
昭和49年に道路の一部が階段になっていると知らずに書類だけで手続きしてしまった、といった説が一般的なようですが、実のところ、国道は必ずしも車が通れなくてはならないといった決まりはなく、階段であろうが獣道であろうが行政庁の指定さえあれば国道となります。「先に予定路線として道なき道を国道指定しておき、後で道路を造る」といったパターンが昔は多く、徒歩でしか通れない登山道が国道289号線に指定されていたのがその良い例です(現在は撤廃されてしまいましたが)。
青森県の津軽半島の先端部、津軽海峡のすぐ南側にこの階段国道はあります。
『崖の上の小便小僧』
徳島県三好市の祖谷渓(いやだに)の祖谷街道を走っていると、突如現れる小便小僧。
文字通り本当に崖の先端部に設置されています。なぜこんな場所にたてられているのかと言うと、かつて地元の子供たちや旅人が度胸試しにこの崖に立ち、そこで小便をしたとの話を元にしているから。
普通の小便小僧のように、実際に放水する事もできるようです。
崖に立っている事以外は何てことない普通の像があるだけですので拍子抜けするかもしれませんが、周辺の祖谷渓谷の絶景の中にポツンと佇むこの像の存在が何とも珍妙なものですので、一目見ておいて損はありません。
■『小便小僧 on the cliff ~崖の上に佇む徳島の珍スポット~』
『伊根の舟屋』
京都府の伊根町。舟の収蔵庫と住居を兼ねた伝統的な舟屋という建造物がおよそ230軒も海沿いに建ち並んでおり、「伊根の舟屋」で知られています。
対岸からこの家屋の群れを見ていると、まるで海に浮かぶ町並みのような不思議な感覚に陥ります。
台風などの荒天時の被害を心配しそうになりますが、この地域の独特な地形が荒波から町を守り、また潮の満ち引きも50~60cmほどとそれほど差がない為にさほど被害は受けないようです。
「伊根湾めぐり遊覧船」に乗って海上から町を見渡すのも面白いものです。
『二階建てトンネル』
千葉県夷隅郡大多喜町にある『二階建てトンネル』。その名の通り、トンネル西側の出口が上下二つに分かれている珍しいトンネルです。
かつては普通の素掘りのトンネルで、上側の出口が使用されていました。昭和40年代になると、このトンネルに接続する道路への利便性を良くする為、トンネルの途中からさらに深く掘削し、新たに下側に出口が完成する事になります。
完成後も旧出口は埋め戻されずに残った為、現在の2つの出口を構成する2階建てトンネルが誕生する事となったのです。
トンネルの出入り口は一つに限らない。自分が今置かれた状況がまるでトンネルに入って出口が見えない、或いは抜けても状況を打破する事が出来ないと感じてしまったら、別の大胆かつ単純なアプローチで新しい出口と道を生み出すかもしれない。
そんな事を示すかのような、神秘のトンネルです。
■『千葉の秘境トンネル『二階建てトンネル』 ~ノスタルジックな列車とレンタサイクルで周遊する~』
他にもこんな場所がある、という情報をお持ちの方がいらっしゃればお教え頂けるとありがたいです。
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