日和山 ~「日本一低い山」の称号を奪還した震災復興のシンボルとも言うべき仙台市の低山~
日本一低い山シリーズ第3弾、『日和山(ひよりやま)』。
宮城県仙台市にある山で、一時期は大阪の天保山に「日本一低い山」の座を奪われたものの、震災後に再びその栄光(?)を取り戻したという、実に面白い経歴のある、日本を代表する低山の一つです。
■日本一低い山シリーズ■
・『大阪・天保山 ~国内の代表的な低山を上る~』
・『蘇鉄山 ~大阪・堺市、一等三角点のある日本一低い山~』
・『弁天山 ~徳島の日本一低い自然の山を登頂する~』
・『東洋一の低さ!?山口県萩市の火山『笠山』 ~見た目に反する大自然の浪漫を楽しむ~』
・『ゼロの頂へ!標高0mの山、秋田県・大潟富士』
「日本一の低山」の称号を奪還!
かつては標高6.05mほどの高さがあり、一時(1991年~1996年)は国土地理院の地形図に掲載されている山としては日本一低い山に認定されていました。
しかし、大阪の天保山(てんぽうざん/標高4.53m)が同地形図に再掲載されるようになった為、その称号を奪われてしまう事となります。
(ちなみにその時、山頂にあった「日本一低い山」という看板には『元祖』という文字が追加されていたそうな)
ところが、2011年3月11日に発生した東日本大震災の際、地盤沈下及び津波の影響を受けて、標高は3mほどにまで低くなりました。
これによって大阪の天保山の標高を下回り、2014年に「日本一低い山」の称号を18年振りに奪還する事となったのです。
震災の被害を受けて、一度は消滅したとの報道もされたものの、地元住民が砂利をこの場所に積み上げていった事もあり、山の存在が守られたばかりか、「日本一低い山」に返り咲いた(?)事もあり、震災復興のシンボルの一つに挙げても良いかもしれません。
転んでもただでは起きないこの根性。
何かに挫けそうになった時、この日和山に登頂し、そのパワーを分けてもらう、というのもアリ……かも??
日和山から陸側を向くと、まさに復興工事が進んでいる最中である事が確認できます。
街が徐々に立ち直っていく様子を静かに見守るかのように佇む日和山。
太平洋を一望する事も可能。
あの日、災いをもたらした海が眼前に広がっているとは思えないほどに穏やかな様子をしているのが、むしろ不気味ですらあります。
「クマ出没 するかもしれない 注意!」という、バス停を模したオブジェが可愛らしい。
ところで、本当にクマが出る事があるのだろうか?
もちろん、「日本一低い山」の称号は伊達ではなく、いとも簡単に登頂してしまう事が可能。
ほんの少しの階段が設けられているのみの、あまりにも“山”らしからぬこの光景。
ほんの数秒で登頂可能となります。
山登りが苦手な方や、体力の弱っている方であっても、登頂は容易。
まず遭難する事はありえない、あまりにも安全無害な山登りを体験する事ができる、貴重な場所の一つと言えるでしょう。
バスでのアクセス ※最寄の停留所から徒歩でのルートに注意!!
バスで最寄までアクセスする事は可能ですが、最寄の停留所から3kmほどの道のりを歩く必要がある為、注意が必要です。
また、日和山の周辺一帯は、震災にて津波の被害をもろに受けた場所でもありますので、復興作業が現在も続いています。
その為、Googleマップにて徒歩でのルートを表示した場合、工事中のルートに被ってしまう事となります。 ※2018年7月現在
当然ながら工事中の道は通行不可能である為、別ルートで移動する必要が出てきます。
実際、私はGoogleマップの手順通りに進んでしまった為、もろに工事中の場所に突入してしまう事態となってしまいました。
関係者さんに事情を説明して、何とか引き返さずに、最短ルートで脱出する事に成功。
もう少ししっかりと調べれば、工事中である事は分かったかもしれませんが、やはり分かり難いのが現状。
そこで、現時点においての最適な移動ルートをまとめてみる事にしましたので、もしバスで移動したいと考えている方がいらっしゃれば、参考にしていただけると幸いです。
2018年7月現在での、バスでの移動方法、及び最寄のバス停留所からの徒歩での最適な移動の手順は、以下のようになっています。
車でアクセスする場合も、ほぼ同様のルートで移動する事となりますので、是非参照してみてください。
1.仙台駅西口の50番バス乗り場より、「蒲生(中野新町)」行きバスに乗車し、終点の「中野新町」にて下車します。
50番バス乗り場は、けっこう分かり難い場所にありますので、初めて訪れた際は、迷わないように注意しましょう。
まず、仙台駅の2階西出口を出て、5番階段を下ります。「コナカ(KONAKA)」という建物が目印です。
5番階段を下りたら、まっすぐ歩いて、横断歩道を渡ります。
さらにもう少し歩くと、左手側にバス停留所が見えてきますので、50番の停留所で待ちます。
「蒲生(中野新町)」行きバスが来たら、これに乗車します。
2.終点「中野新町」で下車したら、乗って来たバスの進行方向側(東側)にある、信号機のある丁字路を左折します。
仙台駅前から35分程度で、終点の「中野新町」に到着します。
3.右手側にコンビニ「デイリーヤマザキ」が見えてきますので、その横を流れる川のすぐ隣にある大通りの交差点(蒲生日本木)を右折します。
4.1.7kmほど直進します。
5.左手側に「J-ロジテック㈱ 東北陸運部」、右手側に「㈱ワキタ 仙台営業所」が見えたら、右に進みます。
6.「日和山」の案内板が出ていますので、それに従って進みます。
7.途中、「通り抜け出来ません」という看板が出てきますが、日和山はこの先にありますので、直進します。
8.「日和山駐車場」という看板が見えてきますので、案内の通り左側に進みます。
9.駐車場の奥側に日和山へ続く遊歩道がありますので、ここを通っていきます。辺りは工事中ですので、柵から出ないように注意しましょう。
車で来た場合、ここに車を止めましょう。
10.遊歩道をしばらく歩くと、日和山が見えてきます。
分かりやすく説明する為、手順を細分化していますが、迷う事なく辿り着くことができると思います。
片道3kmほど歩かないといけないうえ、帰りのバスの発車時刻も考慮に入れないといけない為、時間配分等にも十分気を使わないといけない事態となりますが、幸いにもバス停留所の近くにコンビニがありますので、食べ物や飲み物を購入したり、時間を潰したりする事は可能。
震災復興のシンボルの一つと言っても過言ではない、この日本一低い山「日和山」を是非、存分に楽しんでみましょう。
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